「東京都のブランドロゴ」はなぜ2つもあるのか ビジネスパーソンにも「デザイン力」が必要だ

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もちろん、すべてのビジネスパーソンが、デザインをするわけではないでしょう。ですが、ビジネスを進めていくうえでは、どこかで「デザインの選択」をするシーンに出くわします。情報化、国際化が進んだ今日では、デザインにまつわる最も大切なものは、「デザインを選ぶ人のデザインリテラシー」と言っても過言ではありません。

皆さんの中には、2つのデザイン案を比べて、どちらがいいか迷い、困り果てて多数決を取るという経験をした方も多いでしょう。しかし、今すぐにデザインリテラシーを上げたい、と思っても、デザインを学ぶにはお金や時間がかかります。

私は、ノンデザイナーであってもデザインの良しあしを判断できるポイントを5つにまとめました。頭文字をとって「AISUS」と表記しています。

これは、「共感時代」と言われる現代の流れを汲んだ消費者モデルを示すマーケティング用語「AISAS(Attention/Interest/Search/Action/Share)」に準拠し、デザインにあてはめたものです。

・Accessibility(見やすさ、よみやすさ)
・Impression(印象・映え)
・Sincerity(信頼性・誠実さ)
・Uniqueness(ユニークである、独自性)
・Share(共感・共生・共創力)

とくに、最初の「Accessibility(見やすさ、よみやすさ)」と「Impression(印象・映え)」は、グローバル社会の中でははずせないデザインのキーファクターです。アクセスできなければ、印象が弱ければ、存在そのものが認知されません。「Sincerity(信頼性・誠実さ)」「Share(共感・共生・共創力)」は、とても現代的なアプローチです。信頼性に欠け、共感できないものは広がりません。「Uniqueness(ユニークである、独自性)」はマーケティング戦略の中でもスタンダードな考え方と重なりますが、競争優位を保つうえで欠かせないものです。

「これは違う」をはっきりさせる

『簡単だけど、すごく良くなる77のルール デザイン力の基本』(日本実業出版社)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「AISUS」は、読みやすく、わかりやすく、伝わりやすく、オリジナリティーの高いデザインをつくる、選ぶ際の指標となります。

「AISUS」のような判断基準は、企業やブランドの「デザイン・ガイドライン」を作成する専門家であれば誰でも知るところなのですが、その中心にあるのは発信者の哲学や行動指針への信頼であり、これが「デザインの空気感」の基準をつくり、デザインによって成し得たい「目的」の実現につながります。

デザインによって何を伝えたいのかという「目的」と、それがしっかりと伝わるようにどんなデザインが適切であるのかを判断する基準が明確になれば、「デザイン」という言葉が本来もっている「ある方向性に沿って計画を進める」ことが可能になります。また、「新しい価値を生み出す」プロジェクトも実現されるでしょう。

ウジ トモコ 戦略デザインコンサルタント、アートディレクター

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Tomoko Uji

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、広告代理店および制作会社にて三菱電機、日清食品、服部セイコーなど大手企業のクリエイティブを担当。1994年ウジパブリシティー設立。デザインを経営戦略としてとらえ、採用、販促、ブランディングなどで飛躍的な効果を上げる「視覚マーケティング」の提唱者でもある。ノンデザイナー向けデザインセミナーも多数開催。「かごしまデザインアワード」審査員。「やまぐちハイスクールブランドプロジェクト」チーフディレクター。現在、島おこし(地方創生)プロジェクト参画を機に、壱岐島と東京の二拠点で活躍。著書に『デザイン力の基本』(日本実業出版社)など多数。

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