熊本電鉄、「くまモン電車」の効果は絶大だった 地域密着の鉄道に外国人観光客が押し寄せる

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最初のラッピング電車は元都営の6000形。5編成ある6000形のうち1編成に川崎重工の新型台車「efWING」を導入したが、車体だけでは区別がつかないために“目印”としてくまモンのラッピングを施したのがはじまりだ。

元東京メトロ銀座線01系を使ったくまモンのラッピング電車(筆者撮影)

このくまモン電車第1号2014年3月に登場。以来、少しずつ注目を集めるようになったが、2016年4月には熊本地震に見舞われる。その直後の6月から走り出したのが元東京メトロ銀座線01形のくまモン電車だ。

「このときも観光というよりは、市民のみなさんを元気づけたいという思いから」(中野課長)。そしてこれまた好評を得て、少しずつ“熊本観光の目玉”になってゆく。そこで2017年10月にはもう1編成の01形もくまモンへ。この第3号車をラッピングする際には一工夫もしている。

「東京メトロさんにも相談して、どうせなら車体のベース色をメトロさんの1000系と同じレモンイエローにしようと。車内のあちこちにくまモンを配して、乗っても楽しめる車両にしました」(中野課長)

いまやファンの聖地だが…

これが見事に功を奏して、“台湾人観光客毎月5000人”というフィーバーにつながった。最初は単なる新型台車の目印にすぎなかったが、それが転じて今や熊本電鉄は知る人ぞ知るくまモンフリークの“聖地”になったというわけだ。

「いつまでもこのフィーバーが続くとは思っていません。だから新しいお客さんを開拓していく必要がある」と中野課長が話すとおり、あくまでもこうしたにぎわいは一過性。新たな魅力を創出する努力は欠かせないだろう。

ただ、地域の足「菊池電車」として長く地元の人たちに親しまれてきた熊本電鉄が地震からの復興の象徴となり、くまモンのラッピングで多くの観光客を集める――。これこそまさに、今の熊本を象徴する鉄道路線と言えるのかもしれない。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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