熊本電鉄、「くまモン電車」の効果は絶大だった 地域密着の鉄道に外国人観光客が押し寄せる

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「以前は上熊本駅にJRの特急が停まっていたので、沿線から福岡方面などに向かう人もよく利用していたんです。でも新幹線が通ってからはそれもなくなった。一応、三ツ石駅の近くに九州自動車道の高速バス乗り場があって、それで福岡方面まで行くことができるんですが」(中野課長)

終着の御代志駅。学生たちの姿が目立つ(筆者撮影)

三ツ石駅近くの高速バス乗り場は西合志バス停。福岡まで約90分で結ぶ。新幹線と比べれば時間はかかるが、運賃は2280円とかなりの格安。毎時3~6本と便数も多く、学生たち若い世代の中にはバスの利用者も多いようだ。

ただ、それでもやはり熊本電鉄の鉄道路線の主だった役割は“地域の人たちの足”。そう思いながら御代志駅からの折返し電車に乗って北熊本駅にやってくると、ホームは大量の外国人観光客であふれていた。みな一様にカメラを構え、熱心に写真を撮っていた。これはいったい、どういうことなのか。

台湾人観光客のお目当ては?

「実はこのところ毎月だいたい5000人くらいの台湾人観光客が来てくれているんです。お目当ては……くまモンのラッピングの電車です」(中野課長)

北熊本駅の駅舎には外国人観光客に向けた「歓迎」の文字も(筆者撮影)

大挙して押し寄せる台湾からの観光客は、福岡空港から入って九州を周遊するツアーの途中で熊本に立ち寄る。そのツアーコースのひとつに熊本電鉄の“くまモンのラッピング電車”が含まれているというわけだ。これは同社の営業努力の成果でもあるが、やはり“くまモン”のインパクトは絶大なのである。

ところが、このフィーバーについて中野課長は「ひょうたんからコマってよく言うんですよ」と笑う。現在、熊本電鉄には3編成のくまモンのラッピング電車が走っているが、「最初は観光客を集めようとして始めたものではない」(中野課長)のだとか。

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