熊本電鉄、「くまモン電車」の効果は絶大だった 地域密着の鉄道に外国人観光客が押し寄せる
「学生さんたちは菊池方面から御代志までバスで来て、電車に乗り換えています。バス路線そのものは菊池から熊本市内まで通じているのですが、だいたい学生さんの多くは乗り換えて。それで空になったバスは、ほかのお客さんを乗せて熊本市内までやってくる。うまくできているんですね」(中野課長)
熊本市街地の一角、雑居ビルの奥まったところに小さなホームを構える藤崎宮前駅から乗ってみると、観光客や鉄道ファンの姿はほとんどなく、地元の人たちの姿ばかり。終点の御代志に近付くにつれて学生たちが少しずつ乗ってきて、ほとんどが御代志駅からバスに乗り換えていった。
まさに学生たちを中心とする地元の人たちに支えられている路線。それが熊本電鉄、いや菊池電車なのである。
ちなみに、遠方から熊本電鉄に乗ろうとやってくると、JRと接続しているということから上熊本駅を利用することが多い。そうしたことから、上熊本駅が熊本電鉄最大のターミナルと思いがちだ。
乗車人員数1位の藤崎宮前
ところが、実際には熊本電鉄で最も乗車人員が多いのは藤崎宮前駅。本線と支線が交わる北熊本駅と終点の御代志駅が続き、上熊本駅は全体で4番目。1位の藤崎宮前駅の1日1144人と比べると上熊本駅は494人と半分にも満たない(いずれも平成30年度)。少々意外に思えるが、これは熊本市街地と交通機関の位置関係による。
熊本最大のターミナルはもちろん新幹線も乗り入れる熊本駅だが、これはあくまでも遠方から訪れる人のためのターミナルであって、市の中心市街地は熊本駅から少し離れた通町付近。熊本駅とは路面電車の熊本市電によって結ばれている。藤崎宮前駅はその通町から少し北に離れた場所にある。
「昔は藤崎宮前駅のあたりも繁華街だったんですけどね」と中野課長は言うが、いずれにしても藤崎宮前駅は熊本市街地から市北部、そして合志市や菊池市に向けての“市街地の外れのターミナル”なのだ。
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