ホンダ「Nシリーズ」の安全は何が進化したのか N-BOXとインサイトの衝突実験で感じたこと

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今回の衝突実験で使用されたダミー(写真:ホンダ)

いわく「N-BOXや新型N-WGNでは、われわれが目指してきた衝突エネルギーの吸収と分散する能力をさらに高めて、小さく軽いボディであっても乗員の安全性能を高めることに注力しています」という。続けて「実際の交通環境では車格が異なる車種との衝突も多く、また歩行者との接触事故も考えられることから、今後もあらゆる方面での安全性能を追求していきます」と語った。

ちなみにホンダは1998年に歩行者ダミー「POLARⅠ」を世界で初めて開発し、2008年には「POLARⅢ」へと進化。さらに2017年からはPOLARⅢの脚部を改良し自転車を運転している際に発生する衝突事故にも対応させている。

昨今は人対車両の事故が多く発生

実際に新車2台を衝突させるという貴重な衝突実験の取材はとても有意義であった。一方で素朴な疑問は残った。その筆頭は、なぜN-BOXとインサイトの正面衝突テストであったのか、という点だ。

確かに「人口10万人当たり状態別死者数・類型別死亡事故件数の推移」(平成30年 警察庁交通局)によれば正面衝突等(統計上は「路外逸脱」「工作物衝突」を含む)における死亡事故の構成率は、ここ10年で28%→30%程度と若干増加傾向にある。

しかし、死亡事故の類型比較(同)でみると、トップは人対車両の事故が38%で、そのうち27%(753人)が横断歩行者との事故だ。対して、正面衝突は10%(289人)と実際の死亡事故形態からすると、5番目に位置する。まとめると昨今の日本では、衝突実験で行ったような正面衝突よりも人対車両の事故が多く発生しているのだ。

また、車両重量の違う2台を衝突させた場合に「物理的に克服が難しかった点」など、目の当たりした衝突実験結果に対して、限られた取材時間(約15分間)内に知りうるべき事象が明確でなかった点も惜しかったように思えた。

例えば、車両重量比が1:1.5であることから、今回の試験条件では……、

①N-BOXが吸収する衝突エネルギーが約60km/h分であり、インサイトが約40km/h分であること。
②N-BOXにかかる衝突エネルギーが高いが、実際には衝突後も生存空間が保たれていること。
③N-BOXの運転席足もとスペースが衝突後も確保されていること。


等々、技術の積み重ねでこうした安全性能の高い軽自動車が誕生しているわけで、そこの技術開発に至るまでの時系列変化についても伺いたい。

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