グーグル検索を支える「巨大クラウド」の秘密 世界最強インフラの未来を最古参幹部に聞く
――スタディアのようなクラウドと通信を使い倒すような例は、今後も増えていくのでしょうか。
広帯域通信をフル活用するような事例はこれまであまりなかった。通信ネットワークをこれだけ使い倒すようなアプリケーションは、スタディアが初めてだと思う。それだけに今後2~3年でどれだけのことを成し遂げられるかが楽しみだ。
これほどのクラウドとエッジのデータのやりとりが求められるケースはそう多くはない。動画配信の「ネットフリックス」でも通信は重要かもしれない。ただ(映像データを一定程度先に受信しておく)バッファリングが可能であり、クラウドゲームのようなリアルタイム性は求められない。
クラウドを変える「コンテナ」という技術
そもそも、すべてのデータがクラウドにあるべきということでもない。アメリカのある小売りチェーンは全米に店舗を持つが、全店舗を安定的にクラウドにつなげるためのネットワークを構築するのは高価だ。だから各店舗にサーバーを置いている。レジが通信障害で機能しなくなれば大問題だからだ。
とはいえ、オンプレミス(自社運用サーバー)の管理は非常に手間がかかる。グーグルクラウドのサービスとして今春に始めた「Anthos(アンソス)」は、オンプレミスでもクラウドと同じように管理できる仕組みを提供している。オンプレミスからクラウドにデータやアプリケーションを移行させる際にも、面倒な作業を必要としない。
――アプリケーションの実行されている環境が、オンプレミスか、クラウドか、ということを意識する必要のない世界になっていくと。
自動運転車を考えてみよう。自動運転に必要なデータの処理は、クラウドではなく車の中で動かさなければならない。工場の重要なシステムも同じだ。アンソスはローカルの計算処理やストレージを管理しつつ、アルゴリズムの変更などが必要になったときだけクラウドにつながる。
背後にあるのが「コンテナ」と呼ばれるクラウドの仮想化技術だ(編集注:アプリケーションと動作環境をまとめて管理する仕組みで、通常のクラウド上の仮想サーバーより軽量で高速に起動する。別環境への移行もしやすい)。
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