グーグル検索を支える「巨大クラウド」の秘密 世界最強インフラの未来を最古参幹部に聞く
最初の肩書は「検索エンジンメカニック」
――世界中に巨大なデータセンターを持つグーグルのインフラチームとしてのミッションは。
究極のゴールは、インフラを“見えない”ようにすることだ。最も効果的なインフラというのは空気のようなもので、その存在自体が気づかれない。つねにそこに存在しつつ、信頼できる。クラウドは、細かなことをあなたから見えないようにする。
スマートフォンが新しいバージョンにアップデートされるからといって、あなたは何もする必要がない。そのまま使える。どのようにすればグーグルのインフラをスマホのようにできるか。これを急速なイノベーションと低い所有コストで実現している。
――グーグルの20年の歴史を振り返って、これまでのデータ処理のインフラの転換点として、どのようなものが挙がりますか。
入社後に作った最初の名刺には「検索エンジンメカニック」という肩書が書かれていた。「(アルゴリズムを開発している会社なのに)なぜメカニックなのか?」とよく聞かれたが、あらゆるものがうまく機能していなかったからだ。日々トラフィックが増え続ける中で起こる問題の数々に対処し、次の週を切り抜けられるかどうかが目標だった。初めの3~4年間は目の前の問題の対処が最優先だったと思う。
こうしたインフラの問題を解決すべく、2003年に開発されたのが、検索などグーグルのあらゆるサービスでデータ処理に使われる「グーグル・ファイル・システム」だ(編集注:個々のサーバーが故障してもデータが失われないうえ、自動的に復旧できる大規模な分散ファイルシステム)。このプロジェクトのために優秀なエンジニアを雇い、日々の業務から離して中長期の開発に専念させた。こうした取り組みは初めてだった。
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