バス・鉄道「共通1日乗車券」、普及すれば便利だ 欧米の「ゾーン運賃」には見習う点が多い

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ゾーン運賃は東京ほど人口が多くない町、地域にも普及している。例えば、物価の高さで知られるノルウェーの首都オスロは人口約64万人(日本で比較すると静岡市の人口が約70万人)ほどの町。もちろん公共交通機関にはゾーン運賃が採用されており、1ゾーン内が36クローネ(約420円)である。

ゾーン運賃が適用されている、オスロ市の地下鉄(筆者撮影)

この値段は、片道1回乗るだけだと割高に感じるが、往復したり、途中下車するなど2回以上乗るならば日本より安いとも言える。もちろん一日乗車券や30日乗車券なども用意されている。

ところで欧米のゾーン運賃の、期限内乗り降り自由というポイント。日本の各鉄道の一日乗車券と似た面がないだろうか? つまり、「東急線・東急バス一日乗り放題きっぷ」を「東急ゾーン」の乗車券と考えれば、欧米のゾーン運賃と似てこないだろうか。

日本で実現するなら…

ここでJR東日本や大手私鉄各社などが協議、連携して、現状発売されている乗車券はそのままで、すべての会社がグループ内の鉄道とバスに乗り降り自由という、統一された効力を持つ「一日乗車券」を発売したとしよう。欧米式の同心円状のゾーン運賃に対して、日本式の、鉄道会社ごとのブロック状(あるいは放射状)のゾーン運賃の姿が見えてこないだろうか。

東京近郊に路線バスを持たないJR東日本は、山手線内、中央線、常磐線など幹線ごとにブロック分けし、それぞれに一日乗車券を設定する。バスに乗る必要がない利用客に対応するため、割安な鉄道のみの一日乗車券も設定したいところだ。東武、小田急のように営業エリアが広い会社は、例えば東京都内のみ、東京都と神奈川県のように、さらに複数のブロックに分割してもいいだろう。

先に述べたように、東京とその近郊の住民の多くが、例えば東急が開発した町に住み、東急電鉄、東急バス、東急ストア、東急百貨店……といったように大手私鉄のグループ企業に支えられた生活をしている。

つまり、1つの企業グループの営業エリア内で、生活のかなりの部分が成立しているのだ。鉄道とバスの双方に使える一日乗車券が、受け入れられる素地は、どの会社にもあるだろう。

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