香港デモ、地下鉄「乗客攻撃」と駅破壊で大混乱 抗議活動エスカレート、警察の暴力にも非難
この日は早朝から、デモ隊の抗議活動を気にかける出発客が建物外のパスポートチェックに長蛇の列を作った。
だが、時間が経つにつれてデモ参加者が次々と空港へ集結。やがて、空港と市内を結ぶバスターミナルと高速道路をつなぐ部分にバリケードを築き、さらには到着ロビーからバスターミナルに通じる歩道に荷物カートを積み上げるなどして人の出入りを遮断した。
また、空港特急(エアポートエクスプレス)の線路に向かって活動家が物を投げ入れて運行を妨害し、列車もストップした。ただ、8月のデモ隊占拠時とは異なり、今回は空港外での妨害にとどまったため、多くの発着便は予定通り運航された。
デモ参加者の間ではオクトパスカード(地下鉄など香港の交通機関で使えるICカード)を使ってデモに参加すると身元が割れるとの懸念から、タクシーに同乗して現場に集合するケースも見られるという。
市民に「厭戦ムード」も
金融、小売り、観光といった非製造業で街の経済が支えられている香港では、抗議活動の激化はイコール街の衰退につながるといっても過言ではない。
観光客の足は遠のいている。統計によると、8月16~20日の5日間の外国人訪問客は前年の同じ時期と比べて半分に減った。香港の観光産業の主要顧客である中国大陸からの観光客が前年の2割ほどにとどまっているとの数字もあり、経済への影響が広がりつつある。
香港政府は経済刺激策として190億香港ドル(約2573億円)の支援パッケージを打ち出し、失業の防止をはじめとする対応に乗り出しているが、事態の終結に向けての道のりは遠く、さらなる経済の悪化は避けられない状況だ。
域内GDP成長率は、今年第2四半期(4~6月)に0.4%のマイナスだったと報じられた。7~9月の第3四半期に持ち直す要素が少ないことから、「10年ぶりのリセッション(景気後退)に転落」という声も聞こえてくる。
当初、今回のデモ活動は一般市民の間でも支持を受けていたが、先鋭化したデモ参加者による交通機関や街のインフラ破壊、道路などへの落書きといった行為がエスカレートするにつれ、通常の社会活動をしたいと考える市民らの間には「厭戦ムード」も広がりつつある。
収まらない香港の若者たちの怒りと、改正案の撤回以上は譲れないとの姿勢を示す香港政府、そして中国。この先の展開は見通せない。
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