香港デモ、地下鉄「乗客攻撃」と駅破壊で大混乱 抗議活動エスカレート、警察の暴力にも非難
ところが、日が暮れるにつれて、香港島の金融および観光の中心地であるセントラル(中環)~ワンチャイ(湾仔)のエリアにデモ参加者が集結。一部は香港特別行政区の政府機関があるアドミラルティ(金鐘)で暴徒化し、警察隊と激しい衝突が起きた。ワンチャイ地区の幹線道路では、活動家らが置いたバリケードから火の手が上がった。
そして、市内の複数地点で警察とデモ隊が衝突する中、地下鉄駅での器物破壊もあちこちで発生した。
現地報道によると、この日のうちにMTRの32駅でチケット販売機の液晶画面を割る、改札機に塗料をかける、ホームドアのガラスを割るなど、何らかの破壊行為があったという。さらには各駅にある監視用カメラ260基が壊された。結局、同日はMTRの地下鉄全線が終電を待たずに運行打ち切りとなった。
警察の暴力がさらに反発招く
だが、警察側の暴力的な対応も非難を浴びた。同日夜には活動家らが地下鉄車内で暴れているとの通報を受けた機動隊が、九龍半島繁華街の一角にあるプリンスエドワード(太子)駅に停車中のMTRの列車に乗り込み、活動家と激しく衝突する事態が起きた。
この突入の状況はメディアを通じて広く配信された。映像を見ると、デモとは無関係な一般市民もいる中、機動隊が列車内に乗り込んで活動家とみられる男性を追いかけまわしたり、プラットホームで取り押さえたりする様子が映っている。
それだけでなく、無防備で抵抗できない若い男女を機動隊が殴りつけるシーンもあり、「その場に居合わせた乗客を無差別に攻撃した」といった報道とあわせ、当局への反感をより高める結果となった。
プリンスエドワード駅で起きた機動隊による活動家排除の様子は翌9月1日の朝刊で大きく伝えられた。あまりにセンセーショナルな写真は、デモ参加者をさらに刺激する格好となったようだ。
同日にデモ隊の「妨害ターゲット」となった香港国際空港では、ターミナル内へのデモ参加者乱入を阻止するため、建物外で出発客のパスポートチェックを入念に行う予防措置を取った。
これは、数千人ものデモ隊がターミナルビル内を占拠したことで8月12~13日の2日間にわたってほぼ全便が欠航した事例を受けた措置だ。8月中旬以降行われており、少なくとも同月末まで空港周りでは大きなトラブルもなく運航が続いていた。
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