インドが「電動車先進国」になりつつあるワケ 電動リキシャが町を席巻している
その後、2015年に国会が介入して電動リキシャを合法化。しかし、大半のオーナーは必要な免許を取得していない。ニューデリーでG&Gオートモティブを運営するサニー・ガーグは、政治家はリキシャの運転手が重要な有権者だと気づいたのだと話す。
「1台の電動リキシャは、少なくとも4票から6票になる」と、ガーグは言う。運転手の家族も合わせた票数だ。G&Gオートモティブは、1台約2000ドルの高級電動リキシャを製造している。
2023年までにすべての3輪を電動化へ
ニューデリーのようなスモッグの多い都市では、電動リキシャは大気汚染の削減につながる。政府は新しい電動リキシャを購入する運転手に、3万ルピー(約425ドル)の補助金を出すようになった。
電動リキシャの人気が高まる中で、インド企業は中国のデザインに手を加えるようになった。新規ブランドも台頭し、さらに、部品の供給業者や駐車場などのエコシステムも広がっている。駐車場では、夜のあいだに充電ができる。
中央政府は、いまではバイクやオートリキシャのメーカーに、すべての車両を電動化させようとしている。電動車両の税金を引き下げ、蓄電池と充電ステーションへの補助金も提案する。政府は、これらの支援策と並行する形で、2023年までに新規の3輪車両をすべて電動化することを求めている。2輪車では、目標を2025年としている。
安全面での懸念は残る。電動リキシャはスピードが遅く脆弱なつくりのため、事故には弱い。大通りの通行は避けるべきだとされているが、多くの運転手は大通りも走る。電力会社は、充電ステーションが違法な電線を引いて電気を盗んでいると言う。
インドの暑い気候も、充電池にはマイナスだ。涼しい国に比べて電池の減りが早く、オーバーヒートして停止してしまうこともある。