孤独死が30代の健康な人に突如起こりうる現実 離婚や激務で心身を崩せば一気に孤立する

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女性は、離婚した後に、何らかの理由で親権が父親に渡り、かつて暮らした家を出ていかざるをえなくなり、一人暮らしを余儀なくされることになった。

段ボール箱を開ける気力もなかったのだろう。まるで、かつての家庭生活の思い出を封印するかのように、段ボールはそのままに、押し入れの中を寝床として生活していた。

自らの衣類を詰めた段ボール箱でさえも開けられた形跡はなく、ただ、押し入れに閉じこもった生活を送っていたようだった。離婚後、子どもと引き離されたことが大きな精神的ショックとなり、女性をむしばんでいったと容易に推測される。

孤独死の取材をしていると、この女性のように段ボール箱が山積みになった部屋と遭遇することが多い。そして、その段ボール箱からは、家族写真や子どもの写真が次から次に出てくる。離婚をきっかけに、セルフネグレクト(自己放任)に陥り、若くして孤独死というパターンは決して少なくないのだ。

料理や家事をしていた形跡はなく、ただ女性はひたすら押し入れの中にこもっている生活をしていたはずだ、と上東さんは話す。

働き盛りの男性が死後1カ月後に発見された理由

離婚だけでなく、ハードワークも孤独死の大きなリスクとなる。

現役世代の孤独死は、その過度な働き方によって、徐々に体がむしばまれていくというケースが後を絶たない。そんな社会の歪みの犠牲者は、若年者の孤独死という最も痛ましい形で表れるのだ。

ある日、上東さんのなじみの不動産屋の営業マンから電話がかかった。

「賃貸マンションの住民から『隣の部屋が臭い』という苦情が入っている。何とかしてほしい」

死亡したのは働き盛りの30代の男性。すぐに不動産屋から通報を受けたレスキュー隊が入ったが、時すでに遅しで、死後1カ月が経過していた。

玄関の扉を開けると、強烈な異臭が鼻をついた。警察やレスキュー隊がやむをえず、窓を割って入ったため、部屋には砕け散ったガラスの破片が床に散乱していた。

部屋はワンルームだったが、足の踏み場がないほどにモノがあふれていて、床にはアニメのゲームやアイドルのCDなどが散乱している。デスクトップパソコンが5台も無造作に床に置かれていた。

どうやら男性はベッドで亡くなったらしい。大量の体液がベッドから床下まで到達していた。不動産会社によると、男性はITエンジニアとして働いていたらしい。

不動産会社は、消防検査や、避難はしごの点検などの連絡で、時たま男性に通知書などを差し入れていた。しかし、男性からはまったく応答がなかったという。昼や夜に何度家を訪ねていっても留守で、電話しても仕事で家にいないという返事がきていた。

そのため、男性の仕事は、かなりの激務だったのだろうと語った。

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