「日産」ゴーン去っても絶望的とは言えない理由 情け容赦ない改革が何をもたらしたのか
半分はリストラに使ってもらってもいいのだが、とりあえず話をわかりやすくするために、ここは全額配当に充てるとしよう。すると、ルノーの株式を15%もっているフランス政府にも、配当として約1500億円が入ることになる。さらに、ルノーが配当を支払ったあとで、フランス政府がもっているルノーの株式15%も、日産自動車が全額購入してあげるのだ。その金額は約4500億円だから、これで先の配当と合わせて約6000億円をフランス政府は手にすることができる。黄色いベスト運動のせいで、当初予定していた燃料税の増税分約3000億円が消えて青くなっていたフランス政府にとって、悪い話であるはずがない。私ならこういう交渉をする。
日産は世界でも戦っていける
ゴーン氏が去ったあとの日産自動車についても私の意見を述べておく。ゴーン氏がいなくなれば日産はもとのボロ会社に戻るという声もあるが、そういう人は単純に、ゴーン氏がやってきてボロボロだった日産自動車を立て直したという物語を信じ込んでいるのであって、現実を見ていない。日産自動車はもともと、技術力では非常に優れた会社だったのだ。
しかし、組織が官僚的で風通しが悪いうえに、労働組合の力が強く、合理的な経営ができていなかったのである。ゴーン氏は、その性格の悪さで無駄を排除し、情け容赦なく合理化を進めていった。ゴーン氏の功績はまさにそこにあったのである。
その期間は最初の5年間くらいで、私は彼が長居をしすぎて会社を私物化するようになってからの功績はあまりなかったと見ている。さらにゴーン氏がそれなりの経営者であればルノーもピカピカにできたはずだが、それも日産を使いまくってよくなった部分を除けば限定的というのが実情である。
いまでも日産自動車の技術力は健在だ。また、イギリスのサンダーランド工場などのマネジメントも実にしっかり育ってきている。もうゴーン氏がいなくても
日産自動車は、世界で十分戦っていけるはずだ。
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