「日産」ゴーン去っても絶望的とは言えない理由

情け容赦ない改革が何をもたらしたのか

また、ルノーは日産自動車の株式を43.7%(43.4%という説もある)保有している。そのため両社が経営統合を行うとなると、日産自動車と、日産自動車が株式の34%をもつ三菱自動車は、ルノーの完全子会社になる。つまり、日本を代表する自動車会社である日産と三菱が、フランス政府の影響下に置かれてしまうのだ。

現在、国内に生産台数が1000万台を超える自動車会社をもつ国は日本、ドイツ、アメリカ。さらに、近い将来ここに中国が加わると思われる。ところが、フランスにはこのような自動車会社は存在しないのだ。しかし、ルノーが日産自動車と三菱自動車を完全子会社化すれば、フランスにも生産台数1000万台超の自動車会社が誕生する。

ナポレオンの帽子を被っていると言われている野心家のマクロン大統領のことなので、このようなシナリオを描いているに違いない。ゴーン氏は自分の延命のためにこのシナリオに乗ったのだろう。そして、これに気づいた日産自動車の経営陣は、日産と三菱をフランスに売り渡してはなるものかとクーデターを起こした、というのが私の見立てだ。

無視できないルノーの影響力

ゴーン氏と側近のグレッグ・ケリー氏が逮捕されると、日産自動車はすぐさま臨時取締役会を開いてゴーン氏の会長職と代表権を解き、ケリー氏も代表取締役から外した。

だが、依然として両氏とも日産自動車の取締役であることに変わりはない。彼らを取締役からも解任するには、株主総会の決議が必要だからだ。

そうなると、ルノーが日産自動車株を43.7%保有しているという点が問題となってくる。株主総会に、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の過半数が賛成すれば、取締役は解任となる。ということは、議決権を行使しない株主が20%程度いれば、ルノーの単独決議が可能になってしまうのである。

つまり、ルノーが反対するかぎり、日産自動車はゴーン、ケリーの両氏を取締役から外せないのだ。あるいは緊急動議でフランス政府寄りの人を取締役に必要数だけつけ、その後、役員会で会長などのポジションも占有することができる。そのため、ルノーの影響力がこれからも残るということになる。

さて、どうするか。私が日産自動車の西川廣人社長であれば、ルノーの株式をもう10%購入し25%にする。25%もつことができれば、日本の法律ではたとえルノーが日産自動車株を40%以上もっていても議決権がなくなるからだ。

どうせなら10%といわず、思い切って30%程度買い増すのもいい。ルノーの時価総額は約3兆円なので買い増しには約1兆円が必要だが、日産自動車の体力ならそれくらいの金額は十分支払えるはずで、投資銀行などを利用する手もある。そして、ルノー側にはその約1兆円を配当に充てろと提案するのだ。

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