アメリカに最先端人材が簡単に集まる根本理由

就労ビザが抽選制でも創造的な人材が集積

〇〇分野の〇〇専門知識と経験年数、さまざまなスキルへの要求、そしてこのポストでやってほしいことを漏れなくリストアップする。私もいくつかを見たが、ジョブディスクリプションの長さと詳細さには驚いた。また、雇用したい人、とくにスペシャリティーが高い人に対し、その人のバックグラウンド・性格に合わせたキャリアパスを提供する。人事部門は人材育成の役割を果たし、最高価値を発揮してもらうよう努力する。もちろん、レイオフもそれなりに冷酷だが……。

一方、スタートアップの場合、仕事内容は自由度が高く、ストック・オプションが提供される。インタビューしたバイオテックのベンチャー企業で勤務している女性は、生物化学の博士で、卒業後自分がずっと研究してきた分野で商品化が可能な会社に就職したいと最初から決めていたそうだ。

いろいろ調べた結果、ベイエリアにあるスタートアップに入ることにした。その理由は、ここだと自分が研究したいこと(仕事)ができるからだ。ストック・オプションをもらっていたこともあり、最近会社に大きな出資が入り、上場するという話も出てきたことで、「よい選択をした」と言う。研究したい分野がはっきりしている場合、自分がやりたいことをできる機会が複数あるのもアメリカのよいところだ。

世界の人材が日本企業に勤めない理由

「仕事に拘束される」、これが恐らく、世界中の人材が日本企業に抱く最大の懸念だろう。母国語も日本語も英語もネイティブレベルで、日本の文化も大好きな人々に、どうしてアメリカで暮らすことにしたかを聞くと、大体の人が、「日本だと勤務時間が長そう」「上司によって自分のやることが変わるかも」「プライベートタイムがなくなる」「忖度(そんたく)がいや」という答えが多い。

7時出社4時退社、集中して仕事をし、後の時間は自己啓発したり、副業をしたり、家族と過ごしたり、ジムに行ったり、ハッピーアワーに行ったりする。専門性が高いイノベーティブな人々は、日本の慣習をゼロから勉強しなおし、OJTにより企業特有の文化・スキルをたたき込まれるより、もっと自分の強みを集中的に活用し、その後、マイタイムを自分の意志で過ごすことを好む。

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