アメリカに最先端人材が簡単に集まる根本理由 就労ビザが抽選制でも創造的な人材が集積
もちろん、世界同一給与体系、社内は英語でコミュニケーションを図るなど、とてもインターナショナルな日本企業もあれば、「海外から来てくれたから」と、祈祷室を設置したり、母国が休みの日に帰国を許可するなど、外国人社員にとってありがたい「心遣い」も多い。
移民社会であるアメリカではほとんどの人の祖先はアメリカ以外が出身地であるのに対し、日本は島国なのでほとんどの人が日本国内の出身であるという違いによるものだろう。日本では「この人はB国の国籍だからB国のことに詳しいだろう」と考えるのに対し、アメリカでは、「この人は大学院でB国の名門大学と共同研究し、ハイレベルな論文を発表しているので研究能力が認められる」というふうに考える。
世界1、2位を争うIT企業で働くあるAIの研究者は、母親が華僑のフィリピン人で、父親は浙江省出身だが香港に移住した人だ。彼の話によれば、アメリカでは、出身国ではなく「〇〇大学/大学院で〇〇専攻、〇〇研究について〇〇成果を上げ、趣味は〇〇」というふうにお互いを認識している。これはとくに理系の場合に傾向が強いという。
中国語のことわざに「英雄の出身を問わず」がある。実力で人を見るという意味だ。ちなみに中国の深圳(シンセン)が中国のイノベーションの聖地になれた理由の1つに、ほかの大都市と違い、新しくできた都市なので、「来たら深圳人」という帰属感があり、フェアに競争できる環境を優秀な人材に与えたからと言われている。
詳しすぎるキャリアパス
アメリカが、優秀な人材を魅了するもう1つの理由は、自分の選択により、それぞれにとって明るい将来性があるところである。AI、ディープラーニング、バイオテックといったイノベーションと関係深い分野では、人材のキャリアパスが大きく2つに分けられている。
フェイスブック、アマゾンのような大企業の場合、多くは「長すぎる」ジョブディスクリプション(職務記述書)で人材募集し、「詳しすぎる」キャリアパスを提供する。人材募集する際、このポストはどのような能力を持つ人を求めているのか、どんなことをするのかを詳しく掲載する。
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