「サンダーバード」は1日25往復運行し、一部の便は京都―福井間を1時間20分ノンストップで走る。福井駅には全列車が、敦賀には21往復、武生(越前市)には15往復、鯖江には12往復、芦原温泉(あわら市)には14往復が停車する。一方、「しらさぎ」は1日16往復が運行、敦賀、武生、鯖江、福井、芦原温泉には全列車が停車する。
2つの列車は速く手厚く、北陸地方の移動を支えてきた。しかし、敦賀開業後は、現在の金沢同様、敦賀ですべての旅客が乗り換えを余儀なくされる。同様の利便性低下は金沢開業時、富山エリアでも発生、今なお不満が漂っており、福井県内の動向も気がかりだ。加えて、特急停車駅でなくなる武生と鯖江の将来像も見えにくい。
ダイヤの行方も大きな焦点になる。北陸新幹線・長野―金沢間は221.8kmに7駅があり、駅間は平均32.6km。一方、金沢―敦賀間は125.2kmに6駅、駅間は平均20.9kmと、現在の速達型「サンダーバード」並だ。停車駅数を増やせば、時間短縮効果は限られる。また、新幹線1編成の定員は在来線特急を大きく上回り、区間によってはオーバースペックにもなりやすい。これらのバランスをどう取りながら、利便性の低下を避けるか。
新たな独自性を構築できるか
JR西日本は2017年、北陸唯一の「支店」を福井に開設した。2019年2月末には、「北陸新幹線福井開業(敦賀延伸)を語る会」を初めて福井市内で開催。その結果を受けて8月2日、外国人観光客の誘致を進めるため、県や経済団体と官民連携の協議会を発足させた。地元とJRの連携と協議は今後、どう進んでいくのだろう。
敦賀開業に伴い、福井県は、関西寄りの在来線エリアと、首都圏寄りの新幹線エリアに分かれる。これまでの「嶺南・嶺北」、あるいは「越前・若狭」に加え、新たな境界が県内に生まれる形だ。県庁所在地・福井と県内他地域のつながりはどう変わるのか。福井県と関西、首都圏の結びつきは、北陸3県の関係性は――。どのようなシナリオにあっても、最大のポイントは「福井県や福井市が新たな持続可能性や独自性をどう構築できるか」ではないだろうか。
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