星稜を「甲子園強豪校」に変えた2つの気づき 優勝という目標だけでは勝ち上がれない

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ですので、まず自分の所属しているチームの問題点は何かを考えてもらいます。こうして客観的に見てもらうのです。そのうえで「その問題を解決するのが自分でなくてはならない理由は何か?」という問いかけについて考えてもらいます。

そうすると「自分は技術的に優れているわけではないけれども、勝ちたいという気持ちは誰にも負けないと思っています。この強い気持ちでチームを優勝に導くことが自分の役割です」といった回答が出てきます。キャプテンが自分の本来の役割に気づき、使命感をもった瞬間です。スイッチが入りました。

所属している組織やチームの中でどんな問題があるのか。それを解決するため自分にはどのような役割があるのか、何を期待されているのかということを考え、実行してみましょう。

日本人の自己肯定感が低いのはなぜか

日本の学生は、アメリカや韓国、中国などと比較すると自己肯定感が低くなっているという調査結果もあるようです。この自己肯定感の低さが、先のような思考を生み出してしまう原因だとも言えます。では、なぜ自己肯定感が低くなっているのでしょうか。

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私の持論ですが、子どもの時から「夢教育」を受けていないからだと思っています。夢に対する教育を受けていないのです。日本は「短期目標」と「努力」、そして「反省」の文化があるので、長期的な視点、つまり夢やビジョンに関することを習わないで大人になっていきます。

さらには「ダメ教育」と私は揶揄していますが、「あれをしちゃダメ」「これをやっちゃダメ」とダメなことばかりを記憶させる教育をしていらっしゃる親御さんや学校の先生の存在です。

これによって「やってはいけないことをやらないでおけば大丈夫だ」と、子どもが挑戦しようとする意欲をなくしてしまいます。つまり〝やる気〟が失われていくわけです。「いまの若い人たちは心が弱い」と言う人もいますが、脳のことがわかると、実は、心が弱いわけではなく過去の記憶が邪魔しているだけなのです。過去の「できない」というデータを記憶してしまっているためにマイナス思考になってしまっているのです。

本記事では、この過去の記憶にとらわれることなく、プラス思考をつくるための方法をお伝えしました。「よし、やってみるか!」と少しずつ行動を起こす方々が増えれば、こんなに嬉しいことはありません。夢のある、やる気に満ちた社会に貢献できれば幸いです。

飯山 晄朗 メンタルコーチ、人財教育家

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いいやま じろう / Jiro Iiyama

中小企業診断士。銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ。JADA(日本能力開発分析)協会認定SBTマスターコーチ。金沢大学非常勤講師。商工団体の経営指導員としての11年間で、中小企業の経営、財務、労務相談を5000件以上こなし、独立後は中小企業の人材教育に携わり、2つのコーチングスクールの運営。オリンピック選手や高校野球部を始めとするアスリートたちのメンタルサポートを行っている。主な著書『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』(秀和システム)。

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