星稜を「甲子園強豪校」に変えた2つの気づき 優勝という目標だけでは勝ち上がれない

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一方で、いつまで経っても諦めない、いつまで経っても満足せずに成長し続ける人がいます。

それは、「喜ばせたい人」がいる人です。自分のためであれば諦めやすくても、喜ばせてあげたい、幸せにしたいという人がいたら、なんとしても喜ばせようとして諦められなくなります。

「自分が甲子園優勝という箔をつけたいから」「自分がスカウトに注目されたいから」。これでは燃え尽きやすくなってしまいます。ですから星稜高校の選手たちには、「誰を喜ばせたいか」「誰の笑顔をみたいか」をしっかり考えようと伝えました。

「しなければ」の2種類の意味

スポーツの分野で選手たちが口にする「勝たなければ」「良い記録を出さなければ」という言葉があります。仕事の現場でも「仕事をしなければ」「新規を獲得しなければ」「コストを削減しなければ」という言葉がよく使われています。

実は、「しなければ」という言葉には2種類の意味があるんです。まずは、「しなければいけない」という言葉です。これは義務感とプレッシャーを生みます。「勝たなければいけない」「仕事をしなければいけない」「合格しなければいけない」と口にしたとたん、脳にはストレスがかかってしまい、マイナス思考になってしまいます。

プレッシャーが強くなると、身体にも変化が現れます。キュッと縮こまってしまうんですね。そして失敗やミスが続くと「やばいぞ」と、ますますプレッシャーが強まります。

もう1つは、「しなければならない」という言葉です。これは使命感を生む言葉になります。子どもを守る母親を思い浮かべていただければいいと思います。このとき母親は「子どもを守らなければ」と思っていますが、決して義務感からそうしているわけではないでしょう。むしろ使命感を感じているはずです。

では、どのようにしたらこの使命感が生まれるのでしょうか。

それは、自分の『役割』を認識することです。そのためには、まず自分が何に属しているのかという「帰属意識」が必要になります。帰属意識を持つことで、その組織やチームの問題点を認識することができます。そして、その問題点を認識することで、自分の役割に気づくことになります。この役割意識を強く感じて「自分がやらなければ」と感じられることで、責任感や使命感といった感情がつくられていきます。

このときに重要なことが「自分でなくてはならない理由」なのです。例えば、スポーツチームのキャプテンに、「お前がキャプテンだろ!」「もっと責任を持ってやれ!」などと叱咤したところで、「なんで自分が言われなきゃいけないんだ」と怒りに意識が向くか、「自分にはキャプテンが務まらない」と悲観的になってできない自分に意識が向いてしまい、ますますマイナス思考に陥ってしまうという結果になることもあります。

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