「野球少年」減少に映るプロ存続の危うい未来 何が日本の野球界の成長を阻害しているのか
なぜ、セ・リーグとパ・リーグは手を取り合い、「プロ野球」として1つになってリーグビジネスを本格的に行わないのか。なぜ、野球界には川淵三郎のような絶対的なリーダーが存在しないのか。
侍ジャパンがプロから社会人、大学生、高校生、中学生、小学生、女子まで全世代にチームを持ち、日の丸をつけて戦っている目的は何か。プロ野球とアマチュア野球を隔てる「プロアマの壁」は、今は取り除かれたのだろうか――。
劇的に開いたNPBとMLBの差
1934年に誕生したプロ野球は近年、観客動員数が右肩上がりに伸び、2018年には史上最多の2555万0719人がスタジアムに詰めかけた。2018年夏に100回大会を開催した高校野球では、甲子園球場に連日大勢のファンが押し寄せ、総入場者は史上最多の101万5000人を記録した。
現在、プロ野球や高校野球が開催される球場は、かつてないほどの盛況を呈している。一方、日本で100年以上続く野球界の構造は、ほとんど世間に知られていないように感じる。例えば、冒頭に記した問いについて、答えられる人はどれほどいるだろうか。野球界の複雑怪奇な構造は、とりわけ近年、その成長を阻害しているように思う。
1995年時点で日本のプロ野球=NPBと、アメリカのメジャーリーグ=MLBはともに1400億円と同程度の収益だったものの、2018年時点はNPBが1800億円ほどなのに対し、MLBは1兆円を超える。MLBの成長要因はリーグビジネスに本腰を入れたことだが、NPBが同様の取り組みを始める気配はまったく見えない。
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