「採用してから育てる」がNGなこれだけの理由

採用の失敗が引き起こす大きなデメリット

なかなか現れないだろう人財です。こうなったら、何としても採用にこぎ着けたい。彼と、前職が同業種の先輩社員との食事会をセッティングしました。先輩社員が当社に入社した経緯を話すことで、シンパシーを感じてもらえると考えたからです。会食時には社長直筆のメッセージを手渡してもらいました。

会食の3日後、「内定を承諾」という彼の意思がエージェントを通じて知らされました。ミッションコンプリート! 採用担当者としての仕事の中で、最も安堵感に包まれる瞬間です。入社時期の調整と、配属や受け入れ準備を行い、現場に引き渡しました。

採用後に発覚した期待外れの「即戦力」

それから数週間か経った頃でしょうか、直属の上司となったM部長から連絡が入りました。そして矢継ぎ早に言われました。

「今回採用した彼は、どういう基準で採用したんだ?」

「やる気はあるようだけど、こちらが指示したことをやらないんだ。やれないのかもしれない」

「『えっ⁉ ちょっと待てよ。それってやるのが当たり前だよね⁉』ということばかりだ」

「『ドラフト1位の即戦力人財』だと聞いていたけど、完全に『育成枠』だよ」

「どうするんだよ。今ただでさえ人手不足で忙しいのに、育成なんてしている暇ないんだよ……」

このような不満が多く上がってきたのです。採用担当者は、この話を打ち明けてくれた最後、ため息交じりにこう言いました。「いい人財だと思って、社長も重役もOKだったのに……。採用って本当に難しい、そう思ってしまって、その後どうしたらいいかわからなくなってしまいました」。

このようなことは、日本中の至る所で起こっていることでしょう。ちなみに、この会社はその後、彼を育成するために外部の研修に参加させたり、上司がマンツーマンで指導したりと、手間暇をかけました。しかし、彼に変化は見られず、投じたコストが回収されないまま、約1年半後、彼は退職していきました。自信を失った彼は、その後の転職活動もうまくいかず、なかなか転職先が決まらなかったと聞きます。

上司であるマネジャーは、結果的に長時間労働を強いられることとなり、体調を崩し、現在では入退院を繰り返す状態にまで悪化してしまいました。この組織は、大事な戦力であったマネジャーすらも失う結果となったのです。

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