日経平均株価が2万円を大きく割り込む「必然」

世界中で「さらなる正常化」が進行している

それでも、アメリカ経済が堅調に推移するとのシナリオを、いまだに信奉する向きも多いようだ。そうした強気シナリオの最大のよりどころは、個人消費の堅調さだろう。「雇用が堅調だから消費も堅調に推移するだろう、世界最大の規模を誇るアメリカ経済のなかで、最大のウエイトを占めるのが個人消費だ。その個人消費が堅調であれば、多少他が悪化しても、世界経済は大丈夫で、世界の株価も大丈夫だ」との声も聞く。そのように「期待の星」に祭りあげられたアメリカの個人消費は、本当に大丈夫なのだろうか。

現時点で「個人消費は悪化しているか?」と問われれば、今は拡大基調を維持している。とは言っても、たとえばコンファレンスボードの消費者信頼感指数で測った消費者マインドは、直近の7月分は上振れしたものの、昨年10月をピークとして悪化傾向に向かっているように見える。雇用統計から算出した、1人当たり週当たり賃金の前年比も、直近の7月分が2.6%増とまだ堅調ではあるものの、昨年10月のピークである3.6%増からは、勢いが衰えていることも事実だ。

先週15日(木)に発表された小売売上高については、6月分が前月比0.4%増から0.3%増に小幅下方修正されたものの、7月分は0.7%増と大きな伸びを見せた。ただしこれは、7月15~16日のアマゾンプライムデーの押し上げ効果によるものとの見解もあり、8月も小売売上が高い伸びを保つかどうかは、予断を許さない。

新興国市場も不気味な動き、いよいよ円高へ?

目をアメリカから広く世界に向けると、先週は株価も通貨も下落した新興諸国が目立った。大統領選挙の予備選で、ポピュリズム的な政策を掲げる左派候補が勝利し、現職大統領の苦戦が伝えられたアルゼンチン(加えて、格付け会社のフィッチが、アルゼンチンの長期債務格付けを格下げ)は「別格」としても、ブラジル、トルコ、ロシアの株価および通貨の下落が進んだ。リスク回避的な動きは、世界的に強まっていると懸念する。

通貨市場では、先週米ドルの対円相場が、前述の追加関税適用延期の報道を受けて一時1ドル=107円近くに上昇した後、円高方向に戻っても106円前後での推移にとどまっているが、これは円安が進展しているというより、新興諸国に対する不安から、新興国通貨売り・米ドル買いが生じているため、と解釈すべきだろう。

こうしたなか、8月21~22日は、ワシントンDCで日米通商交渉のための閣僚級協議が予定されている。特にこれで米ドル安・円高に向けての圧力がアメリカ側からかかるとは見込みがたいが、トランプ政権が米ドル安を望んでいるのではないかとの思惑が市場で生じると、足元の米ドルの堅調推移が崩れ、全面的な円高となる恐れもあるだろう。

つらつら述べてきたが、世界の経済・企業収益等の実態悪化と、これまで「過度の楽観」に支えられてきた世界市場の「正常化」(=株価下落と外貨安・円高)は、これから一段と進展しそうだ。9月までに日経平均が1万6000円に向かう、という見通しは、全く変わらない。

もちろん、一直線に株安が進むわけでもなく、「一進二退」のような様相が続きそうだが、今週の日経平均株価は、2万円~2万700円のレンジを予想する。

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