ドイツの輸出失速とユーロ圏経済の急悪化 「ユーロ圏の日本化」「ECBの日銀化」が定着

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なお、他国の状況も芳しいものではない。4~6月期にイタリアはゼロ成長、フランスも4四半期ぶりの低成長(前期比プラス0.2%)と冴えず、主要国が揃って精彩を欠いた。目下、ECB(欧州中央銀行)の追加利下げが期待されるのも当然だろう。ただし、ユーロ圏の失速は過去1年の話であり、にもかかわらず正常化プロセスに固執していた時期があったことが解せない。

こうした中、製造業のマインドは悲惨な状況に陥っており、製造業PMI(購買担当者景況指数:50を上回る状態が続くと景気拡大、50を下回る状態が続くと景気減速を示す)の動きなどを見ると、とりわけドイツの落ち込み方が苛烈である。こうした背景として「中国経済の減速に引きずられた輸出の落ち込み」が指摘されることが多い。

しかし、ドイツの域外輸出について地域別の動きを見ると、中国・香港向けの勢いが落ちているのは確かだが、ロシアや中東アフリカ地域を含む「その他」向けなども減速していることが影響している。

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