ドイツの輸出失速とユーロ圏経済の急悪化 「ユーロ圏の日本化」「ECBの日銀化」が定着

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結局、ドラギ総裁の最後の仕事も金融緩和に(写真:ロイター/RALPH ORLOWSKI)

着実に進んできたユーロ圏の日本化

筆者が東洋経済新報社から『欧州リスク 日本化・円化・日銀化』を発刊させて頂いたのがちょうど5年前(正確には2014年7月)だ。現状のユーロ圏経済を見る限り、5年前に抱いた懸念は正しいものであったと思える。

執筆当時、ECBが預金ファシリティ金利をマイナス0.10%に設定して、マイナス金利政策を導入したことが非常にセンセーショナルに報じられていた。だが、今やそのマイナス幅はマイナス0.40%まで拡大し、来月にはさらなる深掘りが模索される状況にある。

また、執筆時点では導入されていなかった、しかしいずれは導入が確実とみられた量的緩和政策も拡大資産購入プログラム(APP)という名称で2015年1月の政策理事会で導入された。昨年12月、ECBは何とかAPP停止に漕ぎ着けたが、マイナス金利の深掘りには自ずと限界があり、近い将来の再開は必至の情勢であろう。

そうした金融政策の日本化(日銀化)は周知の通りだが、ユーロ圏の実体経済自体が明らかに性質を変え始めている兆候がある。

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