「手ぶらで謝罪に行くな」の想像以上に深い意味 マイナスをプラスに転じる謝罪の「虎の巻」

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その後は徹底的に誰が何をしたのか、どんな発言をしたのか情報を集めました。ここで抜け・漏れがあると、謝罪のときに相手から知らない事実を突きつけられ、「そんなことも認識せずに謝りに来たのか。全然わかってない!」とさらに怒りを誘うことになってしまいます。

ですから、関係者全員と1対1の場も含めて何が起きているのかきちんと把握するようにします。迷惑をかけた本人はなかなか正直に言いにくいこともあるので、周辺の人からも事情や経緯を聞き出します。

自社側でできる限りの情報を集めて整理したうえで、謝罪相手の関係者からも事情をうかがいます。いきなり謝罪する直接の相手との場を設定すると、先方からこちらが把握していない事実を次々と突きつけられかねません。自社側と相手側の関係者の両方から事実を集めます。

●Step2 解決策と再発防止策を作る

私は「謝罪には手ぶらで行ってはいけない」と上司から教えられたのですが、これは菓子折りを持っていけ、という意味ではありません(持っていく場合もありますが)。どうやって今の状況や問題を解決していくのかという案と、今後同じことを繰り返さないための防止策をセットで持っていくという意味です。

手ぶらで行ったらそれこそ、形だけの謝罪だと思われてしまいます。確実にリカバリーし、かつ同じ過ちは繰り返さない意気込みを見せなくては、ことは収まりません。

問題が何かを突きとめるのは必須

コミュニケーションの問題なのか、期待値のズレの問題なのか、スキルの問題なのか、品質の問題なのかを見極めたうえで、相手が納得する案を作ります。

担当者同士で修復できないレベルまでこじれてしまっているのであれば、こちらの担当者を変えるというのも対策案として検討します。スキルや品質面の問題であれば、現メンバーのスキル不足をカバーするような体制やチェックの仕方を変えることが対策案になります。

<謝罪の場で>

●Step3 事情説明の前にまずはお詫びの言葉

ここからは実際の謝罪の場で順番にすることです。心情としては、原因や理由など事情説明をしたくなりますが、まずは相手の話をしっかりと聞き、お詫びの言葉を述べるところから始めます。

ただし、ひたすら「申し訳ありません」とだけ繰り返していても、次第に「この場だけ謝れば済むと思っているのか!」と思われてしまうので、注意が必要です。せっかくの謝罪の機会をマイナスにしてしまっては元も子もないので、くれぐれも火に油を注ぐような謝り方だけは避けなくてはなりません。では、具体的にどのように謝るのか、トークポイントをご紹介します。

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