「生きるのはなぜ苦しいの」小島慶子さんの答え 元引きこもりの25歳女性が聞いた

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――私は自分の考えや価値観に自信を持てません。ですが、小島さんはたくさんのエッセーを書いたり、発言をされています。私は小島さんが書いたり話される言葉には「強さ」が宿っていると感じます。自分の考えを表明する自信を持つにはどうすればよいでしょうか。

小島慶子(こじま けいこ)/1972年、オーストラリア生まれ。1995年にアナウンサーとしてTBS入社。2010年に退社後は、タレント、エッセイストとして、ラジオ、テレビ、雑誌など多様なメディアで活躍中。著書に『解縛 母の苦しみ、女の痛み』(新潮文庫)、『さよなら! ハラスメント』(晶文社)など多数(写真:不登校新聞)

難しい質問ですが、2つのことを考えました。1つは、私が頭のなかで考えたり、実際に体験したことは世界中で私にしかわからないんだ、ということ。

「あの問題は、こうするべきだ」と客観的に評論すると、「それは見方が偏っている」「論拠が足りない」といろいろ言われるかもしれない。

けれど、私が今朝何を食べたか、私が夕べ何を考えたかは誰も知らないから、100%私しか語れない。だから、そういうことを言ったり書いたりすればいいんじゃないか、と思うようにしているんです。

主語は「私」。私はこう思う、私はこうしたい、私はこれをおかしいと思う、私はこれをよいと思う、というふうに一人称でしゃべるようになったら、あまり人からどう言われるか怖くなくなりました。

客観視してみる

もう1つは、自分の意見を、たくさんの意見があるうちの、たった1個にすぎないと客観視してみる、ということ。

「こんなこと言ったらどうなるだろう」と気に病むほど、自分の意見はそこまで人に影響を及ぼせるものではない、と思っているんです。

以前は自分の意見がみんなの承認を得なければいけない、という不安が強かったんです。

けれど実際は、私が何かを言ったところで、まず聞き流す人がほとんど。そして聞いたんだけど、それを勘ちがいして解釈してしまう人が残りのほとんど。

最後に残ったほんのちょっとの人だけが、「共感した」と言ってくれたり、私と同じように理解してくれる。そんなもんなんです。

だから全員の承認はいらない。1000人の内たった1人かもしれないけれど、「私もそう思う。私は1人じゃないんだ」と思ってくれる人がいればそれでいいんです。

その2つのことが経験を通じてわかってからは、以前より、ものを言うことに思い悩まなくなりました。

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