「生きるのはなぜ苦しいの」小島慶子さんの答え 元引きこもりの25歳女性が聞いた

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――現在、母親との関係はいかがですか?

相変わらず、難しいですよ。「年老いた母を大事にしなきゃ」と思う気持ちはあるんですが、やっぱり直接会うと、しんどいです。

この間、どうしても会って受け渡しをしなくちゃいけない書類があったんです。その日はたまたま母の日でした。せっかくだからと、お花を持って母の家に行って、2人きりで1時間半くらい過ごしました。

母は私のことが大好きだから、私の出ているテレビ番組を全部見ているし、私の書いてる本はもちろん、出ているインタビューも全部読むんです。

偏見がひどくて

私は40歳を過ぎてから発達障害と診断されたので、母は勉強しようと思ったんでしょうね。表紙に「発達障害」と書かれた新書を握りしめて、「読んでるのよ」と。

私は、「私のことをわかろうとしてくれて、ありがとうね」と言ったんですが、ちゃんと理解できているのかな、と不安がよぎったんです。

「母の話は発達障害についての偏見がひどかったんです」と語る小島慶子さん(写真:不登校新聞)

その不安は的中しました。母の話は発達障害についての偏見がひどく、聞いていておかしくなってしまいそうなくらいでした。

母には「やめて。それは障害に対する偏見なんだよ」と言ったけど、理解してもらえませんでした。こちらの思いは昔から通じない人なんです。

でも、たぶん彼女自身も、なんで自分が言った言葉が人をこんなに怒らせるのか、わからないんだと思います。

「大好きな娘のことを知ろうと努力しているだけなのに、何がいけないの?」と思ったんじゃないでしょうか。

帰り際、「どうやら娘に長年キツイ思いをさせてきたようだ」と理解したのか、母から「私に育てられて大変だったわね、ごめんね」と言われました。

私は「いいんだよ、誰だって完璧な人はいないんだから。お互いにツライ思いをしたけれど、いいじゃないの」と言ってお別れしました。

でもやっぱりしんどかったです。適度な距離って大事なんだな、と思いました。

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