農協がいま、投資信託の販売に本気になるわけ ベテラン証券マンと挑む一大プロジェクト
ビジネスモデルが転換期にきていることを意識し、5月には2023年度までの中期経営計画を発表した。その中で、「デジタルイノベーション」や「未来志向の業務革新」など5本の柱を打ち出すなど、ビジネスモデルの転換を急いでいる。
「AIやRPAを使って全体で1割の生産性を上げる。全国の17営業所を2020年3月に廃止し、デジタルも活用していく」
農林中金の奥和登理事長は今年5月の決算と中計説明会でそう述べた。メガバンクや地方銀行と同様、営業所を効率化させ、農林中金グループ職員の1割に相当する600人の人員を今後5年間でJAなどに再配置していく。「農林中金が必要とされるかの勝負」(大竹専務)という、強烈な危機感の表れだ。
今後3年程度は「経常利益1000億円」が目標
農林中金は、リーマンショックが起きた2009年3月期に5721億円の連結最終赤字を計上した後、2015年3月期は4113億円の黒字に転じるなど、V字回復を果たした。しかし、2019年3月期の業績は、経常利益、純利益とも前期比で3割近い減益となるなど、ここ数年の収益は右肩下がりとなっている。
「われわれのシミュレーションでは今後3年程度は、(経常利益を)1000億円の目標でいかざるをえない」(大竹専務)
農林中金は、株主である各地のJAへ利益を安定的に還元する使命を負っているが、経常利益1000億円という数字は、リーマンショック後の苦しい時期の水準で、過去の実績をみても決して高いとは言えない。
「いくら顧客本位と言っても、1年や2年でビジネスモデルはそう簡単には変わらない。時間はかかるかもしれないが、(こうした取り組みは)組合員や利用者のためになる」。松澤さんが言うような、農林中金の息の長い取り組みは始まったばかりだ。
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