40歳を過ぎてのMBA取得は武器にはなりえない 「マネジメント経験の不足」を補う物ではない

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あくまでも実務経験に加えた「プラスアルファ」的な位置づけで、黄金の杖とは思っていないわけです。

さて、そのうえで申し上げますが、頂戴した文章を拝見するに桜庭さんとして、「次はこういったキャリアはどうだろう」という短期的な目線はお持ちのようですが、「将来こうなりたい」という長期の目線が不在のように思えます。

と言いますのも、キャリア開発において次の打ち手を考える際には、「その選択は将来のゴールに自分が近づくためにどれだけの価値があるか」否かで判断をするべきだと思うからです。

キャリアの右も左もわからない若者であれば、ちょっと興味のある分野にとりあえず挑戦、という選択肢もアリですから、「転職そのものや経験」をゴールにしてもよいのです。

しかしながら、桜庭さんのご年齢や状況を考えますと、転職やMBA入学を含む次の一手は「何かが起こることを期待して行う」ものではなく、「具体的ゴールを達成するための手段」であるべきなのです。

将来のゴールが見えているか否か

どんな選択肢も必ずメリットとデメリットが存在します。

キャリアそのものが自分自身はおろか、外部環境にも左右されうるという意味において不確実性とは切っても切り離せない対象である以上は、キャリア上の選択肢に「絶対」や「正解」はありえません。

そのような不確実性の中において、選択をして、決断し前に進む際において重要なのが、将来のゴールが見えているか否か、なのです。

つまり将来のゴールとは、キャリア上の選択肢を判断するうえでの判断基準として機能するわけです。ゴールが見えていれば、そのゴールに照らし合わせて、自分自身をゴールに少しでも近づけてくれる選択肢は何か、を考えればよいのです。キャリアという先が見えない道を歩んでいくに当たって、闇雲にならないように、周りに流されないように、または取るべきでないリスクを避けるべく、そういったゴールを持っていることが大切です。

現在桜庭さんがいろいろと迷われているのは、もしかしたらそういった「道しるべとしてのゴール」が見えていないからなのかもしれません。ですから、まずはそういった長期の目線でもってゴールを考え、逆算で次に何をするべきかをお考えになるとよりすっきりとするのだと思います。

桜庭さんが、短期的な手段に惑わされることなく、長期的な目線でもってキャリア開発に臨まれ、進むべき道を見つけるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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