20代中頃までのこれからキャリアを形成していこうという層に関して言えば、自分自身の経験のなさをカバーしたり、潜在力を強化・拡大する、またはアピールするという視点においてMBAの取得が有利に働く可能性はあります。
しかしながら、桜庭さんの場合はすでに40歳ですから、MBAの取得自体は評価の対象としてstrong pointではなく、「あればまぁプラス(nice to have)」程度の位置づけと考えるべきです。
より率直に言うと、MBAを保有しているか否かが転職等の有利不利を左右する要素にはなりません。
頂戴した文章には書かれてはおりませんのでわかりかねますが、おそらくMBAを狙われる背景の1つに、桜庭さんご自身が「ソフト・ハード両面におけるマネジメント経験の不足」を感じておられ、その補足としてMBAとお考えなのではと推測します。
問われるのは「即戦力として使えるか」
その思考や行動力自体は当然プラスなのですが、40歳という年齢を考える際には、前述の通りマネジメント経験や能力が問われ、多くの場合でそれは、実際に管理してきた部下の数であったり、チームを率いてきた経験や問題解決に当たれる能力です。
決して「お勉強としてのMBA」が評価されるものではありません。
40歳という「即戦力として使えるか否か」が判断の最上位基準である転職の現場において、MBAで学んだ知識よりも、実務経験の方が評価されうることは言うまでもありません。
また同様に、「MBA卒業生のネットワークで声がかかる」とありますが、これも「MBA卒業生だから声がかかっている」のではなく、あくまでも「個人としての実績や実力」でもって判断されての結果です。
つまり、仕事においての経験やスキルでもって評価される人物である、ということが第一の前提なのです。
したがって、現時点において桜庭さんにとって転職が不可能な会社から、MBA卒業後に「MBAを取得したから」という理由だけで声がかかるわけでもありませんし、取得後に転職が可能となるわけではありません。
つまり、ご年齢などを考慮した際には、MBAの取得「そのもの」が桜庭さんという個人の転職市場における可能性を大きく開くということはないということです。
転職を少しでも有利にする武器ではない、ということを理解したうえでもMBAを取得したいというお気持ちであれば、もちろん行くことは本人の自由です。
実際に欧州はEMBAプログラムが多いですし、30代後半の方も結構いらっしゃる印象を持っています。
ただ、そういった方たちの多くは、管理職になる前の準備として会社から派遣されていたり、または短期的な転職目的ではなく、長い目で見て今までの自分自身の実務経験を体系的に整理したり、自分自身のマネジメント経験のなさを補うため、という目的を持っています。
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