外国人が欲しがる「日本の高級ブランド」5特徴 「ジャパンラグジュアリー」にも勝機はある

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最後のキーワードは「アルチザン」である。

⑤アルチザン

アルチザンはフランス語で「職人」を意味するが、職人のこだわりを感じさせる製品は、日本らしいイメージとしてとらえられることが多い。とくに、近年世界から注目されている繊維や生地ではそれが顕著で、職人のこだわりや匠の技術が感じられるテキスタイルは高く評価されている。

ファッションだけでなく、料理、美術、工芸などにおける日本製品に対して海外が共通してもつ価値イメージは、こだわり、伝統、品質の高さといった、アルチザンの背景を感じさせるものだ。

その価値イメージを想起させるようなブランドの世界観構築は、グローバル化に向けた1つのアプローチといえる。

「クリエイティビティー×日本らしさ」が成功のカギ

例えば、近年海外で大成功を収めているデザイナーズブランドのサカイは、ハイテク素材を上質なラグジュアリー素材にミックスしたハイブリッドスタイルを確立している。

そこには「テクノロジー」と「アルチザン」という対極的な要素が、デザイナー阿部千登勢氏の鋭い感性のもとで両立している。これらのキーワードは択一ではない。むしろ複数の要素を織り交ぜながら、ブランド独自の空気感をつくり出すことが重要だ。

サカイのように、複数の日本的要素やその現代的な解釈を融合して深みのある世界観を築くことが、成功のカギだろう。

デザイナーズブランドとして成功するためには、クリエイティビティーが最も重要となることは言うまでもない。他方、世界で消費者に受け入れられビジネスとして成功しているブランドをみると、何かしらの「日本らしさ」がブランドの世界観やコンテクストに盛り込まれていることも現実だ。

日本発のデザイナーズブランドとしてグローバルのアクセシブルラグジュアリー市場を狙うためには、以上のような日本的な要素を戦略的に盛り込み、プレゼンテーションすることも重要なのである。

書籍『2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日』の第2刷の一部におきまして、弊社の編集過程で誤りがありました。著者ならびに読者の皆さまに心からお詫びの上、以下のように訂正させていただきます。
224ページ前から5行目
誤:「約5000億円」
正:「約500億円」
なお、当該書籍をご購入された方は、下記まで着払でお送り下さい。訂正済みの書籍と交換させていただきます。
〒103-8345 東京都中央区日本橋本石町1-2-1 株式会社東洋経済新報社 営業推進部

(東洋経済新報社 出版局)

福田 稔 KEARNEYシニアパートナー

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ふくだ みのる / Minoru Fukuda

慶應義塾大学卒業、IESEビジネススクール経営学修士(MBA)修了。電通国際情報サービス、欧州系戦略コンサルを経て、A.T. カーニー入社。主に、アパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定・ブランドマネジメント・グリーントランスフォーメーション・DX等のコンサルティングに従事。プライベートエクイティやスタートアップへの支援経験も豊富。経済産業省の産業構造審議会 繊維産業小委員会委員、繊維製品における資源循環システム検討会委員、ファッション未来研究会副座長。著書に『2030年アパレルの未来』『2040年アパレルの未来』(共に東洋経済新報社)がある。

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