日立「英国新幹線」、祭りの後に待ち受ける試練 イベントは大盛況、だが次に造る車両がない?
また、前回は予想を大きく上回る観覧客が押し寄せ、一時は道路に人があふれそうになる局面もあった。

「今回は安全第一を徹底します」ということで、警察からも了解を得た。警備や環境整備には前回以上に力を入れたほか、走行ルートの別の場所にグッズや飲食を販売したり、大型ビジョンでの生放送を行ったりするイベントエリアを設けることで観覧者の分散化を図った。

さて、7月14日のイベント当日。小雨も降る天候となったが、前回を超える3万5000人が高速鉄道車両を見るため沿道にやってきた。走行距離は前回の半分になったが、その分、ゆっくりと走ることにした。
さらに今回は走行する車両を2両に増やしたので、観覧者の楽しみは倍に増えた。実行委員会が事前に入念な準備を進めたこともあり、特段のトラブルもなく無事終了した。
「くだまつ」を定着させたい
下松を本来の読み方の「くだまつ」ではなく、「したまつ」「しもまつ」と呼ぶ人は少なくない。クラス800の道路走行イベントを世界に発信することで、「世界中の人に”クダマツ”と呼んでもらいたい」。国井市長にはこんな思いもある。
前回のイベントから2年経ち、ちゃんと「くだまつ」と呼んでもらえるようになったのだろうか。この質問に対し、国井市長は「道半ばです」と苦笑いする。「まだ劣勢感は否めない。こうしたイベントを連続的に行うことで知名度を高めていきたい」という。
IEP向けクラス800の製造はほぼ終えた日立だが、ほかの外国向け車両の生産は続く。「私どもで対応できる範囲であれば、いくらでも協力する」と、日立の川畑淳一・笠戸事業所長は力強く語った。
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