日立「英国新幹線」、祭りの後に待ち受ける試練

イベントは大盛況、だが次に造る車両がない?

2019年7月14日に山口県下松市内の道路を走る、日立製のイギリス向け高速車両(記者撮影)

日立製作所が造ったイギリス向けの高速鉄道車両が、再び昼間の時間帯に道路を走った。工場から鉄道会社の車両基地まで車両を搬送する際に、トレーラーに牽引された車両が道路上を走ることはあるが、通常は交通量が少ない深夜に行われる。したがって、昼間の道路走行は非常に珍しい。

7月14日午前、山口県下松(くだまつ)市にある日立の笠戸事業所から、下松第2埠頭に車両を搬送する作業が多くの市民の前で展開された。初回の走行は約2年前の2017年3月5日。このときは、「二度とできないイベント」と言われていた。なぜ、再び実現にこぎつけることができたのだろうか。

日立製車両のふるさと

笠戸事業所は、日立の鉄道事業の一大拠点。国内向け車両だけでなく、海外向け車両の多くもこの地で造られる。

日立は、英仏海峡トンネルのイギリス側出口とロンドンを結ぶ高速鉄道路線「ハイスピード1(HS1)」を走る高速鉄道車両174両を製造する優先交渉権を2004年に獲得。さらにその成功を受けて、IEP(都市間高速鉄道計画)の866両を2012年に受注した。

また、IEP以外の路線についても高速鉄道車両の置き換え案件を獲得したほか、イギリス向け近郊型車両の製造も行っているので、これらを合わせると、日立がイギリス向けに製造する高速鉄道車両の総数は1655両に達する。

IEP向けの高速鉄道車両は「クラス800」と呼ばれる。プロトタイプ的な位置づけである量産先行車は笠戸事業所で100%製造し、量産車については笠戸でボディや台車など核となる部分を製造し、イギリス北東部にある日立のニュートンエイクリフ工場に船で運んだ後に、イギリス製の部品などを組み込んで完成させる。

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