乱立する「プロ野球中継」サービスの最新事情 DAZNが広島カープと東京ヤクルト喪失のワケ
パ・リーグのゲームだけ見られればよく、交流戦のセ・リーグ主催ゲームは視聴できなくても目をつぶれるというパ・リーグファンの場合は、選択肢が3つある。Rakutenパ・リーグspecialとパ・リーグLIVEはどちらもパ・リーグTVと同じ映像だが、Rakutenパ・リーグspecialはライブ中に巻き戻したりスロー再生もできて690円。
パ・リーグLiveはヤフープレミアム会員向けのサービスで、ライブ中継のほか、アーカイブは過去1週間分視聴可能で498円。本家のパ・リーグTVは月額1566円で、パ・リーグ6球団いずれかのファンクラブ会員なら1026円。2012年シーズン以降のアーカイブがすべてそろっていて、特定のゲームの特定のイニングを抽出できたり、3画面同時視聴ができたり、注目のシーンを複数のアングルから見ることができたりするので、豊富な機能を使いたいユーザー向けだ。また、交流戦限定だが、巨人、阪神の主催ゲームも見られる。
カープ戦には復活の余地あり
セ・リーグには残念ながらパ・リーグTVのようなサービスは存在しないので網羅するだけでかなり割高になってしまう。DAZNの1890円はスカパー!のプロ野球セットの半額以下だが、カバーしていない2球団分をスカパー!以外のネット放送で補うとなるとかなり厄介だ。
カープ戦のJオンデマンドは1944円もするし、ヤクルト戦のFODも959円する。巨人戦のhulu、ベイスターズ戦のParavi、タイガース戦の虎テレの3チャンネルの料金を合計しただけで2654円だから、10球団で1890円のDAZNはやはり割安だが、残り2球団分を補うにはほぼ同額のコストが発生してしまう。
カープファンはホームゲームだけでよければJオンデマンドのみで済むが、ビジターゲームも網羅しようとすると、DAZNとFODも契約して4793円払うか、スカパー!だけにして3980円払うかの選択になる。セ・リーグの全ゲームを網羅したいファンの身の上にも同じことが起きる。
もっとも、DAZNはドコモユーザーだと月額料金が1058円に下がるので、携帯電話会社をドコモに切り替えるとDAZN、J オンデマンド、FODプレミアムの3局分合計で3961円。プロ野球ニュースは視聴できないが、スカパー!より19円安くなる。そもそもDAZNが広島県及びその近隣でのライブ配信にこだわらなければ、カープ戦を失うことはなかった。逆に言えば、カープ戦については復活の余地がある。
今回、2球団のホームゲーム中継喪失について、DAZNに取材を申し込んだものの回答は得られなかった。カープ戦復活がDAZN契約者拡大の大きなカギになるのは間違いないだろう。
来シーズン以降、DAZNは失った2球団の中継を復活できるのだろうか。カープ戦は地元放送局の放送エリア内でのライブ配信を諦めれば復活はありえるが、ヤクルト戦復活はフジテレビとの兼ね合いもあり、ハードルが高い。そう考えるとDAZNの12球団コンプリートはそう簡単ではない。
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