乱立する「プロ野球中継」サービスの最新事情

DAZNが広島カープと東京ヤクルト喪失のワケ

J SPORTSは3つのチャンネルで、カープ主催の全ゲームの制作をしている(球団とCS放送局の組み合わせは下記一覧参照)。

スカパー!は日本シリーズを除くプロ野球公式戦全試合を視聴できる「プロ野球セット」というサービスを持っているが、これはJ SPORTSやGAORA SPORTSなど、各球団の全主催ゲームの番組制作をしているCS放送局の視聴ができるサービスだ。

今シーズンからはインターネット放送も開始しているが、これはプロ野球セットの付帯サービスという位置づけになっている。番組制作にはさまざまなパターンがあるが、カープの場合、球団自身は基本映像を制作しておらず、地上波の中継番組は地元局とJ SPORTSの共同制作だ。

衛星放送は特定の地域だけ放送が流れないようにするということが技術的にできないということもあるが、J SPORTSが地元局が放送する中継の制作に全面的に協力しているからこそ、球団はJ SPORTSにはライブ放送を許可しているのである。

ヤクルト戦脱落はフジテレビの意向?

一方、東京ヤクルトスワローズは昨シーズンDAZNとは1年契約を締結。今回契約を更新しなかった。

筆頭株主であるフジテレビが運営するインターネット放送FODプレミアムでは、今シーズンからヤクルト主催の全試合のライブ中継を開始している。番組はCS放送のフジテレビONEで流されているものと同じものだ。

FODはスマホ向けアプリのダウンロード数が累計で1000万件を突破、ライブ配信とオリジナル作品の強化でさらなる会員数増を狙っている。ヤクルト戦はライブ配信強化策の言わば目玉コンテンツになる。ヤクルトの中継映像はフジテレビが制作しており、DAZNに映像を提供するかどうかの意思決定権はフジテレビが握っているのだろう。

「DAZNがヤクルト主催ゲームの中継をやらなくなったおかげで出費が増えた」

こうボヤくのは、30代のヤクルトファン男性だ。昨シーズンは巨人主催ゲームがカバーできない難点はあったが、DAZNだけを契約していたので、出費は月額1890円(税込み。以下、料金はすべて税込み/非ドコモユーザー)。しかし今シーズンはDAZNに加え、「FODプレミアム」も契約し、出費が959円(月額、税込み)増え、2849円になった。昨年11球団までカバーしていたDAZNが、今シーズン巨人戦を獲得できた一方でカープ戦、ヤクルト戦を落としたことは、各球団のファンに影響を与えたのだ。

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