西武国分寺線、知る人ぞ知る“地味路線"の素顔 ベテラン社員に聞く「日常風景」に隠れた魅力
最近でも新しい宅地造成は続いていて、古くから沿線に暮らす人もいれば、最近越してきた若い人も多い。東大和市駅付近は新しいマンションも多く建ち並び、注目度も高い。
2018年からは西武新宿駅から直通する着席列車「拝島ライナー」の運行も始まって利便性も高まっている。
朝はJRで会社に行って、帰りは座りたいから「拝島ライナー」を使うというお客も多いようだ。若い頃に萩山駅近くの寮で暮らしていたという藤村管区長は言う。
「だからこのあたりには愛着がありますよね。そういう西武の社員も結構多いんです。若いときに萩山とか西の方の社宅にいて、結婚して子供ができて家を建てようという時になじみのあるこっちに、と」(藤村管区長)
西武鉄道の“本線格”といえば、やはり池袋線と新宿線。ただ、そうした中でも“西武ローカル線”に愛着を抱く社員は結構多いのだ。いかに国分寺線や拝島線の沿線が「のどかで過ごしやすい」エリアなのかがうかがい知れる。こうした沿線を持っていることも、西武鉄道の1つの強みなのかもしれない。
黄色い電車が青春の思い出に
そんな小川駅管区で働く社員のお気に入りはどこなのだろう。大友副管区長が「夜の駅が好きなんですよ」と教えてくれた。静かな夜のホームのベンチに学生たちが腰かけてひとときのおしゃべりを楽しむ。そうした光景に、自らの青春がプレイバックするのだとか。
「実は私、中島みゆきのファンでして、『ホームにて』って曲があるでしょう。あれが頭の中を流れてくるんですよ。学生さんのなまりなんかを聞くと。自分の青春時代を1人で回想して楽しんでいます(笑)」
『ホームにて』には「振り向けば空色の汽車」というフレーズがある。西武線ならば“黄色の電車”になるだろうか。毎日電車で通学している学生たちにとっても、国分寺線の駅は忘れることのない青春時代の思い出の1ページになりそうだ。
池袋線や新宿線のように昼夜を問わずたくさんの人が行き交うわけではないローカル線だが、国分寺線には地域の人たちの暮らしを確かに支え、時には故郷への憧憬を誘う、そんな温かい風景があった。
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