国内メガバンク3グループ 余裕なく、薄氷踏む試練の年

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再編チャンスの一方、逆風下でどう動けるか

金融業界で起こりつつあることも、10年前のケースと同じだ。クレジットクランチが起きると、まず、流動性が逼迫する証券会社から苦しくなる。97年の三洋証券、山一証券の破綻に続いて、日興証券、大和証券の経営が危ぶまれた。日興証券はシティ、大和証券は住友銀行の支援を受け、今日の関係が築かれた。

今年1月、米シティグループは中核事業をシティコープへ、非中核事業をシティホールディングスへと分割することと非中核事業の見直しを発表した。80~90年代にM&Aを繰り返した総合金融帝国は瓦解した。07年上期に手中に収めたばかりの日興コーディアル証券も手放す意向を示した。そのため、当時、日興をつかみ損ねた三菱UFJFGやみずほFGには再びチャンスが巡ってきた。大和証券グループをリテールを含めて買収したい三井住友FGが動くことも予想される。

米国ですら、単独で残った証券会社はゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーのみであることを考えれば、再編は不可避だろう。野村グループも国際的な規制と流動性の強化のために、銀行持ち株会社の選択を迫られるかもしれない。

ただし、この逆風下の環境だ。昨年から、みずほコーポレート銀行のメリルリンチへの12億ドル出資、三井住友銀行のバークレイズへの5億ポンドの出資、三菱UFJFGのモルガン・スタンレーへの巨額出資は、目先損失を拡大させた。国内のノンバンク買収も負担となった。経営トップはかなり慎重になっている。

資本面でも余裕がない。互いに相手の動きを牽制することになるだろうが、こういう時期の買収劇は、かなり売り手側が厳しくなってからの買いたたき合戦となるのが必定だ。

損保業界の再編もまた動き出した。10年前を振り返れば、資産デフレが進むと、最後に苦しくなるのは生保業界だ。業態を超えた再編が議論される局面も予想される。

今年から来年にかけては、3月の年度末、5月の決算発表前などに危機を繰り返すパターンが再現されるかもしれない。薄氷を踏む試練の年となりそうだ。

(大崎 明子 =金融ビジネス)

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