国内メガバンク3グループ 余裕なく、薄氷踏む試練の年

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国内メガバンク3グループ 余裕なく、薄氷踏む試練の年

昨年9月のリーマンショックは世界の金融・資本市場を暴風域に巻き込んだ。決算発表の11月まで、日本の株価も急落。持ち合い株の多い3つのメガバンクグループは評価損益の悪化で自己資本が減少。さらに融資先の債務者区分悪化でリスクアセットも増加方向となった。自己資本比率は低下してしまう。

メガの資本増強はギリギリ 厳しい09年3月期決算

米モルガン・スタンレーへの90億�の投資を発表し、意気揚々だった三菱UFJフィナンシャル・グループ(三菱UFJFG)が約1兆円の増資をぶち上げたのを皮切りに、メガ3グループは今年度の厳しい決算をにらんで、年末までに話をまとめる駆け込み的な資本増強に、相次いで走った。

結局、三菱UFJFGの増資は、明治安田生命や日本生命など親密生保から3900億円を優先株で集めたものの、株価が発表時の800円台から417円まで売り込まれたことで、普通株での調達は予定より2000億円少ない4000億円となり7900億円の資本増強に終わった。2008年9月末の自己資本比率は10.55%、Tier I(中核的自己資本)比率で7.63%だった。

第3四半期の減損処理額が2570億円に及んだ旨を開示、第3四半期では期間損益が赤字となったもようだ。だが、増資により、12月末も9月末並みの自己資本比率に持ち込めたものとみられる。

三井住友フィナンシャルグループ(三井住友FG)は、08年9月末に自己資本比率で10.25%、Tier I比率で7.08%だったが、12月と年明け1月の優先出資証券の発行で計6989億円を調達した。生損保などの機関投資家のみならず、三井物産、三井不動産などグループの優良事業会社二十数社にも出資を仰いだ。保有株式の簿価は、わかしお銀行とのいわゆる逆さ合併時の洗い替えで、他の2グループよりも低く、減損額も相対的に少なく済むとみられる。だが、09年1月に2837億円、同6月にも3400億円の優先出資証券の償還予定があり、それを先取りしてカバーしたい事情もあった。

みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は生損保を中心に3550億円の優先出資証券を発行した。08年9月末で自己資本比率は11.45%、Tier I比率は7.36%。減損も三菱UFJFGに近い額が出ると思われるが、配当コストも考慮した結果、無理をしなかったようだ。

ただ、これから先の増資は難しい。生損保もこれまでは「銀行は潰れない」とみて、「国債より利回りのいい社債」として銀行の優先出資証券の購入に応じた。だが、一定のエクスポージャーを超えると、格付け機関から、ダブルギアリング(持ち合いによる資本のカサ上げ)の不健全性の議論が蒸し返されることになる。

また、昨年12月、ドイツ銀行が再調達コストが高いため、劣後債のコールオプションを行使せず期間を延長するという、市場関係者から見れば“まさか”の暴挙に出て、銀行のハイブリッド証券のスプレッドが再び急拡大した。「銀行がコールに応じず償還期限が延長される可能性があるとすれば、われわれもそれなりのスプレッドを要求せざるをえない」(生保幹部)。「お互いさまでしょ」と言う声が聞こえそうだが、要はコスト的にも限界だ。

繰延税金資産も再び、議論の的になるかもしれない。すでに、三井住友FGは、自己資本への算入限度を超えているが、他の2グループも有税償却の拡大とともに、徐々に算入額が増えている。メガバンクへの公的資金による資本増強も俎上に載る可能性がある。


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