スマホで敗れた「ノキア」が再び復活できた理由

大変革を率いた現役会長が語る激動の日々

――2015年にはフランスの通信機器メーカー、アルカテル・ルーセントを156億ユーロで買収しました。

ノキアは戦略的にとてもよいポジションにいると感じている。これだけ幅広い製品群をグローバルに、大企業や通信会社向けに供給できるメーカーはほかにいない。別々のベンダーに頼らずとも、ノキアはネットワーク構築に必要な一通りのソリューションを提供できるようになった。

起業家マインドがノキアを変えた

――会長に就任し、巨大企業であるノキアを変革するには、多大な労力を必要としたと思います。シラスマ会長を駆り立てた原動力は何だったのでしょうか。

多くの起業家は同じように考えると思う。私は1988年にセキュリティのテクノロジー企業を立ち上げ、18年間CEOを務めた。今でもその会社の最大株主であり、会長だ。物事が間違った方向に行かないように、頭の中でシナリオを作らないわけにはいかない。

リスト・シラスマ(Risto Siilasmaa)/1966年生まれ。ヘルシンキ工科大学修士(理学)。1988年、セキュリティサービス会社「エフセキュア創業、2006年まで社長兼CEO、以降は会長を務める。2008年にノキア取締役、2012年に会長就任。2013年9月から翌年4月にかけては暫定CEOも務めた(撮影:佐々木 仁)

ノキアでも同じ気持ちだった。会社が正しい文化を醸成できていれば、従業員は皆プライドを持つ。プライドを持っていれば、会社がうまくいくために何ができるかを考える。たとえ外部から招かれた経営者であっても、傍観者にはならず、起業家として責任を持たなければならない。そういうマインドを、私は自分で持とうとした。

――現場の社員とのコミュニケーションも重視しているようですね。

私は純粋に、会社の中で何が起こっているかということに興味があった。そして誰かが私の部下だと思ったことはない。私が創業した会社では皆平等だ。私がボスではなく、皆が一様に同僚だった。単に、私には特定の役割と下すべき意思決定があっただけだ。

だからノキアの本社では今でも、私はカフェテリアに座り、紅茶を飲みながらメールをチェックする。なるべく近づきやすい雰囲気を出すよう努めていた。通りかかった人々と話す。時には会ったことのない社員とも。彼らが取り組んでいるプロジェクトのことを効き、議論を交わす。そうすれば、うまくいっていること、いっていないことがよくわかる。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • おとなたちには、わからない
  • 子育てと介護「ダブルケア」の現実
  • コロナショック、企業の針路
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
なぜ取締役会に出席しない?<br>会社側の苦しい「言い訳」

役員会に出席せず改善の兆しがない取締役は、機関投資家や議決権行使助言会社から厳しい目を向けられています。株主総会招集通知から、取締役・社外監査役の取締役会出席率を独自集計し、欠席の多い人のランキングを作成しました。安易な選任の実態は?