スマホで敗れた「ノキア」が再び復活できた理由 大変革を率いた現役会長が語る激動の日々

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――交渉はどのように進んでいったのでしょうか。

最初にマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(当時)に会った際、私がまず伝えたのは、「われわれはパートナーだ」ということだった。だからこそ、マイクロソフトが自社開発のデバイスを作る必要があるなら、その理由を理解する必要がある。なぜ今のままではパートナーシップが成功に導けないのか。どの部分がうまくいかないと思うのか。既存の提携関係を変える余地はあるのか、といったことを尋ねた。

もちろん、スマホの販売数量が伸びず、当時の提携関係には互いに満足していなかった。だからこそ、この交渉がマイクロソフトとの関係を変えるいいきっかけだと考えていた。その間、われわれが自信を持って発売した新製品「ルミア920」の売り上げが、目標数値に達する前に減り始めた。私はスマホビジネスはもううまくいかないと悟り、その瞬間にマイクロソフトへの事業売却が最優先事項に変わった。

通信機器メーカーへの大変身

――携帯事業の売却を経て、シーメンスとの通信機器の合弁会社を100%子会社にしました。このことが、通信機器への集中のきっかけとなりました。

マイクロソフトと交渉していた2013年の夏、われわれはシーメンスとも交渉を進めなければならなかった。彼らが通信機器の合弁会社「ノキア・シーメンス・ネットワーク(NSN)」の株を売却したいという意向を示したからだ。その頃は将来の戦略をじっくりと考える時間はなく、交渉を完了できるかも不透明だった。

NSNの完全子会社化が決まり、さらに2014年4月にマイクロソフトによる携帯事業の買収が完了して、われわれはようやく通信機器ビジネスへの注力を決定した。この分野は長年の経験があるうえ、従来からの顧客である通信会社からも受け入れられやすかった。さらに5G時代の到来で、多くの設備投資のチャンスがある。

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中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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