香港の混乱が中国のアキレス腱になりうる理由

国際金融センターで何が起きているのか

アメリカは「アメリカ・香港政策法」に基づいて、香港に対して関税やビザ発給面で優遇してきたが、香港に高度な自治がなくなればさまざまな特権を廃止したほうがよく、そのためには、香港に十分な自治権があるかどうか、毎年検証を義務付けようという法案だ。提出された法案には、中国本土への容疑者引き渡しに関与した人物に対する資産凍結など制裁措置も盛り込んでいる。 

同法案は、ペロシ下院議長(民主党)も支持する姿勢を示しており、与野党の枠を乗り越えて早期に可決されるかもしれない。

この法案が出された背景には、中国がアメリカに対して発した「内政干渉するな」という脅しに反発したものとも言われているが、米中貿易交渉のタイミングを考えると、この法案が中国へのプレッシャーの1つであることは間違いない。

ちなみに、香港は大半の商品に関税がかからない自由港区だが、日中貿易交渉の一環で中国にかかっている追加関税も、香港を通せば非課税扱いになる。その香港ルートも、閉ざしてしまおうというのが今回出された法案の狙いの1つだ。

香港は中国の「集金マシーン」?

一方、中国にとって香港は貿易面でも、そして世界中から投資資金を集めるという面でも不可欠な存在だ。

香港の株式市場に上場している企業の半数は中国本土に籍を置く企業だ。つまり、中国企業は香港市場に上場することで、資金を集めて成長してきたところがある。株式市場だけではなく、中国企業が発行する債券など有価証券の大半は、香港の金融市場で売買取引される。中国はまさに香港の金融市場の集金力に支えられて成長してきたと言っていい。

実際に、2018年の新規株式公開(IPO)調達ランキングでは、香港市場が世界第1位になっている。中国のスマートフォン大手「小米(シャオミ)」やネット出前の「美団点評」などが新規上場したことで、IPOによる調達額は366億米ドル(約4兆1000億円、大手会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツ調べ、以下同)となった。これは、2017年の2.2倍に達する金額だ。

2位はニューヨーク証券取引所(288億ドル)、3位は東京(262億ドル)となった。もっとも、2018年は中国の大手テック企業の上場が相次ぎ、動画配信大手「iQIY(愛奇芸、アイチーイ)」、音楽配信のテンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループになどは、香港ではなくナスダックやニューヨークに上場している。

デロイト中国法人によると、2019年もIPOによる資金調達額で、香港取引所(HKEX)は世界3位以内を維持するだろうと予測している。香港でのIPO実施企業を約200社、調達額を1800億~2300億香港ドルと想定している。

もっとも、香港取引所での2019年1~3月期に実施されたIPOでは、前年同期より27社少ない37社で、調達額は16%減の204億香港ドル(2894億円)。香港取引所は、調達額では1位から後退している。米中貿易交渉やファーウェイの影響が少なからず出ていると言っていいだろう。

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