『問題のある上司を人事部に報告するのはアリ?』(42歳・男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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<城繁幸氏の診断>

 診断:『責任は権限に比例する』

 事業責任者の成績によって、その部署の賞与原資に差を設けるのは、成果型の賃金制度では割とよく見られるシステムです。部署の評価が高ければ、それだけ頑張った人が多いわけですから、これは当然の流れですね。大手メーカーの事業別独立採算制などはこの典型でしょう。

 ただし、これをやる以上、その責任者への成果評価は一般従業員よりも厳しく行われる必要があります。“成果主義”とは本来、権限を握る立場の人間に適用して、はじめて効果があるものだからです。

 と、こう書くとなんだか抽象的なのですが、たとえば映画や小説の中に出てくる“船長さん”をイメージしてください。船が沈没しそうになったら、船長さんは乗員を退出させて、自分は最後に脱出します。中には「船と運命を共にする」なんて方もいらっしゃいます。それが舵を取る者の責任なんですね。沈没する時に「おまえらが悪いからだ」と言い捨てて真っ先に逃げ出すのは、責任者たる者のすべきことではありません。

 ところが、日本企業では、この点が誤解されているケースが珍しくありません。たとえば、部門の業績が悪かったから、従業員の賞与は下げる--でも事業責任者は相変わらず席にふんぞり返ったまま。

 なぜこんなことが起きてしまうのでしょうか。それは、年功序列型の組織では「ポストとは過去の年功に対するご褒美」という考えがいまだ根強いからです。そんなカルチャーの中でポストに就かれた方は「自分は偉いからこのポストにいる」という感覚で社内を見ているわけです。おそらく、問題の上司の方も、こういった古いタイプなのでしょう。

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