『問題のある上司を人事部に報告するのはアリ?』(42歳・男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
処方箋:『声を上げるのは当然の権利』
ただ、新制度が理念どおり機能するためには、きっちり権限に応じた責任を取ってもらうことが必須です。とりあえず新制度に移行して、1年くらいは様子を見てください。上司が死に物狂いで業務に取り組むようになったり、あるいは異動させられるようであれば、御社の新制度はスムーズに推移するでしょう。
逆に、まったく変化が見られず、一般従業員の査定が厳しくなるだけなら、新制度は既に形骸化している可能性大です。そういう場合は、しかるべき筋に意見するという選択肢も考えられるでしょう。
その場合、どこに出すかは企業によって変わってきます。日本企業には、
(1)人事部が強い人事権を握り、事業部に対して一定の統制を行っている企業
(2)人事権はすべて事業部側の管理職に移譲済みで、人事部はただのバックオフィス的役割しかもたない企業
の二種類があります。御社がどちらかはわかりませんが、後者の場合、従業員から相談されても、具体的なアクションは期待できない場合もあります。
ですので、まずは上級マネージャーであるエリアマネージャーに話を通すのが筋かと思われます。それでダメなら、本社の管理部門なり、より上級の役員なりに話を持っていくのが良いでしょう。
最後に一つ。従来、終身雇用の保障された世界では、従業員は「声を上げないこと」が賢い生き方とされていたように思います。どうせ長い付き合いだし、いずれは自分も上の立場になれるのだから辛抱しよう、というわけですね。
でも、そんな時代は終わったのです。これからは、昇給や出世は一部の人にのみ与えられ、多くの人はそんなものとは無縁のまま、平社員として過ごす時代がくるはずです。
ならば、積極的に声をあげ、待遇改善や自己の権利についてどんどん主張するべきだと、私は思います。本来、労働者も使用者も、対等な権利を持っているはずなのですから。
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