若者が次々辞める会社は「休ませ方」を知らない 必要なのは働き方ではなく「休み方改革」だ

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本当は「自分のため」の休みであるはずなのに、無意識のうちに「会社のため」に休んでいる方も多いのではないでしょうか。だから日曜日の夜には、週明けの仕事が憂鬱になる「サザエさん症候群」になってしまう。

だからこそ、間違えてはいけないのは、ただ休めるようになることが「休み方改革」のゴールではないことです。「会社のため」の休みではなく、「自分のため」の休みを過ごせるようになることが「休み方改革」の本当のゴールだと、私は考えます。

いつもと違う非日常を過ごす重要性

このように、休日の時間を最大限「自分のため」の時間にできる環境をつくってあげることで、若者は仕事以外のことを学ぶ時間に充てられます。そうやって、「会社の外」でインプットを得ることによって、若者たちの将来への不安は軽減し、よりリフレッシュができて仕事にもこれまで以上に精が出ます。そして、外で得たインプットを仕事に生かせば、仕事にも還元される場合も出てくるはずです。

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さらに、自分のために休むことができるようになるということは、仕事とはまた違う「非日常」を過ごせるようになるということでもあるのです。その非日常で感じたことを材料にして自分と向き合うことで、今の時代に必要な「自分らしさ」を見つけることもできます。

その自分らしさこそ、AIに仕事が取って代わられる時代に必要な能力です。それは本人にとっても必要な能力ですし、それは同様に会社にとっても、これからの時代に必要な武器の開発ということでもあると思います。

そのうえ、「休み方改革」はあくまで休日でできることですから、本人にとっても、会社にとってもいちばんのメリットは、「会社を辞めずにできる」ということです。会社を辞めることなく、個人にとっても会社にとっても必要な自分らしさを見つけることができる。

だからこそ、休み方改革は、若者たちの離職率増加の要因である将来への不安を軽減し、離職率の低下につなげられると考えます。

ですので、たくさんの部下を抱える上司のみなさんは、「休みたい!」と言ってくる若者に対して、「会社を辞めます!」と言わないだけよかったと思うようにしていただけると幸いです。

むしろ、その休みを自分にとっても会社にとっても最大限に生かしてもらえるように、「会社のため」ではなく「自分のため」の休みを取れる環境を作ってあげることが、今の時代に求められる上司のあり方ではないでしょうか。

働き方改革よりも、「休み方改革」です。

東松 寛文 リーマントラベラー、休み方研究家

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とうまつ ひろふみ

神戸大学経営学部卒業。広告代理店で働くかたわら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」に。週末で人生を変えた休み方のスペシャリストとして「休み方研究家」としても活動。オーストラリア『ケアンズ&グレートバリアリーフ観光大使』、岐阜県『羽島市アンバサダー』。70カ国159都市に渡航。3カ月で世界一周を達成し『地球の歩き方』から旅のプロに選出。TV・新聞・雑誌などメディア出演・執筆多数。全国各地で講演も。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』、『休み方改革』、『週末だけで70ヵ国159都市を旅したリーマントラベラーが教える 自分の時間の作り方』InstagramTwitter

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