精子提供で2人を産んだ、女性カップルのリアル 平均年収が高くLGBTに優しいオランダでは…

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オランダの土産物屋で買える女の子同士がキスする置物。男の子同士バージョンもあるそう。(写真提供:由梨さん)

あらゆる多様性に寛容な国、オランダですが、全く差別がないわけではありません。由梨さんいわく「差別のないところなんてない」。

とはいえ、2人が自国にいたときよりもかなり自由になったのは確かだそう。ベネッサさんはアメリカ人ですが、生まれ育ったのは保守的な土地柄で知られるテネシー州。そして由梨さんが生まれ育ったのはいまだに同性婚すら認められていない日本。

一方オランダでは、LGBTでも移民でも社会の一員として普通に生活ができる権利がある。特別視はされず、隠す必要もないし、嘘をつく必要もない。由梨さんは日本ではどこかで壁を作ったりガードを固めていたのが、そのガードがガクッと下がったそう。そういう意味でオランダのほうが住みやすいと言います。由梨さんは取材後、無事に2人目を出産しました。

というわけで、今回学んだつかれない家族になるヒントは…

自分たち家族と住んでいる街が合っていなくてつかれた

今の時代、本気になれば自分の住みたいところに住める。
勇気と努力で、好きな街に移住してしまおう。

 

ハードル高すぎに思えるかもしれないけれど…

今回のヒントは「おいおい、そんなのハードル高すぎだよ!!」と思う人もいるかもしれません。でも、そこをあえて書いてみました。私自身、スペインで暮らす中で、えいやと自力で住む場所を変えてきた人を何人も見てきて、「そうか、人生って自分次第でなんでも変更可能なんだ!」とハッとした部分があるからです。

さらに、今回オランダのことを調べながら実感したのは、多様性のある人々を受け入れる土壌があり、実力にあった収入や安定が保障され、教育の質の高い国には、海外からいい人材が集まるのだということ。オランダには知識移民を優遇する制度もあり、この2人はその枠で認められています。

いまオランダは、日本からの移民も増えているそう。他国がどんどんレベルを上げ、多様性への寛容度を上げていくなか、日本は優秀な人材をどんどん海外に流出しているのかもしれない…。そんなことも考えたりしました。

ちなみに、同性同士で子どもを作ること自体について、倫理的に心配する声もあるかもしれません。そのあたりについて考えたことは、以前この連載の北スウェーデンのゲイカップル家族編で描いています。興味ある方は読んでみてください(記事はこちら)。

さて次回は、オランダの妊娠出産事情について紹介します。産後の2人の家事育児を助けてくれた意外な人とは……?

ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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