老後2000万円問題で焦る人は「カモネギ」になる 人生には多くの選択肢があることを忘れるな

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もう一つ、私は50歳の時に岩手県紫波町1年間移住していました。「しろーと農業」で月6万円稼ぎ、リンゴ農家のバイトで15万円。生活費は18万円くらいでした。だいたい「車保有しなくちゃ」と思って「車買う」と言うと、あちこちの人から「うちの車乗れ!」というオファーが舞い込むほどでしたから、50歳の時にでさえ定職なしに貯金が出来ちゃうんです。

岩手県というところは冬の暖房光熱費が高く、かなりエネルギーコストを支払うことになりますが、年金の24万円があれば楽勝で暮らしていけます・・・・・・というような情報がなぜ、出てこないのか??「地方移住の落とし穴」、みたいな特集ばっかりしている大手運用会社、不動産会社がスポンサーをやっているような媒体を見ていて、騙されて「こりゃいかん!」と言っているだけなんです。税金を投入してまで地方移住を誘致しようとしているのに、なぜ「老後を地方で暮らす」、という選択肢が出てこないのか、非常に不思議です。

東南アジアの国などは、すでに日本の非常に高い年金収入に目を付けていて、マレーシア、フィリピンなどが年金世代の招致に力を入れています。ここでもネガティブなことばかり語られますが、実際に体験してみた感覚から言うと「非常に良い」のです。

東南アジアもいろいろありますが、総じて10年前に比べれば政情も安定してきましたし、特に老人介護ということを考えるならこの2国はお薦めです(いつも思うのですが「フィリピンは危ない」とかいう人がメディアにたくさんいて、要するに調査不足で行って騙されてしまった人だけを取材して、そういう記事を書くわけですね。

その媒体のスポンサーが某大手投資信託会社だったりするから笑っちゃいます。しかし、実際体験はしていないでしょう?ワタクシなどは、「ホントはどうなんだ??」と、疑問があればすぐに行って体験してみる。そのうえで発言をします。なぜ、何も知らないのに記事を書くんでしょうか?信じられません)。

とにかく、これらの国には安くて若い人材がいくらでもいる。フィリピンなんて、介護の資格を持った若い人の報酬は月2万円ほどですよ!生活費については、場所にもよりますが、高くても月10万円と見ていればいいですね。日本の国力は、衰えたと言っても向こう20年くらいは間違いなく高いでしょうから、円を持っていれば「最強」です。

繰り返しますが、単に「2000万円足りないらしい!運用しないとやばいぞ!」という、この「鴨葱状態」が一番まずいのです。どうしてこういう他の選択肢がきちんと提示されないのか、それはそれで不思議ですよね。

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