大丸心斎橋は「浪速のギンザシックス」になるか 86年ぶり建て替え、飲食充実で訪日客狙う

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ギンザシックスが銀座エリアの集客装置となったように、心斎橋店本館も地元の活性化役として期待される。

大阪市中央区にある心斎橋エリアで中核となる心斎橋商店街は、週末ともなると約15万人もの歩行者で混雑する。周辺には、若者が集うアメリカ村や南船場・堀江などの特徴的なエリアもある。

心斎橋エリアの企業で組織されるNPO「御堂筋・長堀21世紀の会」の成松孝理事長は「ターミナル駅周辺に位置するキタやミナミと異なり、心斎橋エリアは目的を持って来る人が多い。ここ数年、スタイリッシュさを意識して街づくりを進めてきた。そういった意味で、新しい大丸心斎橋店が開業すると、街全体のブラッシュアップに寄与してくるだろう」と語る。

大阪の百貨店各社は激しい顧客争奪戦

大阪の百貨店各社は目下、激しい顧客争奪戦を繰り広げている。大阪北区「キタ」では、阪急うめだ本店が独自のフロア構成を武器に、婦人服や雑貨販売を順調に伸ばしている。同じグループの阪神梅田本店は阪急うめだ本店に隣接し、現在建て替え工事中だが、2018年6月に一部を先行オープン。立ち食い店舗を集めた「スナックパーク」を復活させたことで大阪人の胃袋をつかみ、連日にぎわいを見せる。

大阪では激しい百貨店戦争が繰り広げられている(撮影:今井康一)

阿倍野区では、あべのハルカス近鉄本店が矢継ぎ早に店舗を入れ替えている。この大胆な施策が奏功し、今や国内外の顧客が押し寄せている。近鉄百貨店は隣接する自社の商業施設「Hoop」を今秋に改装オープンし、本店との連携による集客力アップを狙う。

大丸心斎橋店は本館閉店前の2014年度に845億円の売上高を計上していた。J.フロントは今回の本館開業による具体的な収益寄与を公表していないものの、建て替え前以上の計上を狙っているのは間違いないだろう。目論見どおり、大阪の百貨店競争を制することができるか。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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