大丸心斎橋は「浪速のギンザシックス」になるか 86年ぶり建て替え、飲食充実で訪日客狙う

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2017年4月に松坂屋銀座店の跡地に開業した複合商業施設「ギンザシックス」は、「フェンディ」や「ディオール」など世界を代表する高級ブランドを集結させたことが話題を呼び、今や銀座エリアのシンボルとなっている。

6月11日の会見で施設概要を説明するJ.フロントリテイリングの山本良一社長(記者撮影)

通常の百貨店は、在庫リスクを伴わない「消化仕入れ」と呼ばれる独特な取引形態で運用する。一方、ギンザシックスはショッピングモールのように、各テナントと定期賃貸借契約を結ぶ「場所貸し」に徹したビジネスモデルを採用している。

新しい心斎橋店本館も、海外ブランドを誘致して定期賃貸借の構成を増やす。通常の百貨店が賃貸借比率1割程度なのに対し、心斎橋店は65%を占める計画だ。ギンザシックスのように婦人服や紳士服といったカテゴリー分けをせずに、男女の商品をいっしょに展開することでブランドの世界観を表現する。

ポケモンや海洋堂を紹介するカフェも

このビジネスモデルを基盤に、心斎橋店本館はインバウンド需要の取り込みを強化する。心斎橋エリアは現在、「日本人を見つけるのが大変」(冒頭の大手百貨店幹部)と言われるほど、中国人を中心に多くの外国人観光客でにぎわう。心斎橋店全体のインバウンド売上高比率は35%超(2018年度実績)と、比較的高水準と言われるギンザシックスの約30%を上回っている。

今回開業する本館も当然、訪日外国人客を意識する。飲食フロアは遅くまで周遊する外国人を呼び込めるように、夜11時まで営業。日本のカルチャーを発信する場として、「ポケモン」やフィギュアの造形企画製作を行う「海洋堂」を紹介するカフェも導入する。

インバウンドだけでなく、地元客の誘致にも力を入れる。「食」へのこだわりが強い大阪人に合わせ、食品フロアを充実する。地下2階には、250席を備えるフードホールを設置。地下1階にも、ガトーショコラ専門店「ショコラフィル」などを誘致。イートインコーナーを併設した店舗も拡充する。

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