非上場「ぺんてる」株主総会が注目される全事情 業界最大手コクヨが介入、再編含みの展開も

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会社のゴタゴタに、ぺんてる社員の思いは複雑だ。取材に応じた社員の1人はこう明かす。

「社員同士で飲みに行くとこの話題ばかり。組む相手がプラスでなければならないと感じている社員はそう多くない。(プラスと組めば)業績がよくなると会社は言っていたけれど、根拠は薄い気がした。そもそも営業を担う人たちは、プラスに主導権が握られることに反対している。こうなった以上、コクヨと業務提携を進めていったほうが得策だと思っている」

別の社員は「社内ではプラスと合弁会社を作る話が既定路線になっていて、マーキュリアの37.45%はプラスが保有するものとばかり思っていた。今回(分散保有やコクヨへの売却など)ほかにも選択肢があったことを初めて知った」と語る。企業価値の向上より経営のコントロールを取り戻すことにきゅうきゅうとしている経営陣の姿が、この社員の目には虚しく映った。

ぺんてる経営陣への「北風と太陽」

そんな中、今回の株主総会で、1人の株主が1株2000円での自社株買いを求めた。実はこれまで、株主から保有株を売却したいという打診があった際、ぺんてるは1株125円という価格を提示してきた。マーキュリアが創業家の堀江氏から買い取った価格は1株約2000円。コクヨはさらにマーキュリアから約3000円で買い取った。1株125円は、株主の持つ経済的価値をあまりに軽視しているように見える。

ぺんてるは1953年から海外市場に進出、欧米での売り上げ比率の高いことが特徴の1つだ(記者撮影)

この株主提案は蟻の一穴になりうる。日本の会社法には会社が特定の株主から自社株を買い取る場合、ほかの株主も買い取りを要求できる条項がある。この提案が通れば、ほかの株主が、次々とぺんてるに株の買い取りを請求してくる可能性がある。

ぺんてる経営陣は、この株主の背後にマーキュリアやコクヨがいるのではないか、と警戒心を強めた。しかしマーキュリアは6月21日、この株主提案に反対を表明した。筆頭株主が反対した以上、提案は否決される公算が大きい。ぺんてる経営陣は、まずは難局を逃れそうだ。

マーキュリアは、ギリギリのところで「太陽」の陽を浴びせたのかもしれない。ぺんてる経営陣に助け舟を出しながら、コクヨとの資本提携に向けて前向きな姿勢を示してくれるのを待つ、という判断。だが、ぺんてるが今後もプラスとの業務提携を望むのであれば、「北風」を再び吹かせるかもしれない。

そもそも創業家の持ち分を投資ファンドに売却することを承認した段階で、このような事態は予測できた。が、ぺんてる経営陣が経営の独立性に固執する姿勢がかえって、第三者の介入を招き、事態を複雑なものにさせている。

株主総会で和田社長は何を述べるのか。その後、どういう判断を下すのか。多くの関係者が固唾をのんで見守っている。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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