米中貿易戦争、アメリカ企業の勝ち組と負け組 関税引き上げの恩恵、全体は明確じゃない
[19日 ロイター] - 米企業は半導体からトラクターまであらゆる業種が、対中通商紛争や鉄鋼関税引き上げなどトランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の影響を受けたと説明している。
鉄鋼など予想通り勝ち組となった業種が一部にあるものの、トランプ氏の関税引き上げによる企業の恩恵は、全体ではそれほど明確ではない。
貿易戦争による勝ち組と負け組は以下の通り。
◎負け組
<ハイテク企業>
・アップル<AAPL.O>
米中通商関係を巡る先行き不透明感から景気が悪化した中国でiPhone(アイフォーン)の販売が鈍ったとして、売上高見通しを引き下げた。
・インテル<INTC.O>
先月、中国での需要鈍化を理由に19年の売上高見通しを下方修正した。
<自動車・オートバイ等>
・フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<FCHA.MI>
関税引き上げによる今年のコモディティー関連のコスト上昇を7億5000万ユーロと見積もっている。
・ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>
関税引き上げと素材関連で今年のコストが10億ドル余分に膨らむと見込んでいる。鉄鋼やアルミニウムの価格は下がっているが、パラジウムなど他のコモディティーは値上がりしているという。
・フォード・モーター<F.N>
関税引き上げに絡む18年の業績への「逆風」を7億5000万ドル程度と発表した。販売台数が落ち込む一方、関税引き上げなどの影響でコモディティー関連コストが上昇し、第1・四半期のコストは前年同期に比べて5億ドル増大した。
・ハーレー・ダビッドソン<HOG.N>
欧州連合(EU)と中国における関税引き上げに関連するコストが18年は2370万ドルだったと発表した。今年は1億─1億2000万ドルの範囲と見込んでいる。
・ウィネベーゴ・インダストリーズ<WGO.N>
関税引き上げや追加関税提案により20会計年度に少なくとも1000万ドルのコスト上昇圧力がかかると予想した。
<重機・農機>
・キャタピラー<CAT.N>
関税引き上げが緩和されなければ、今年のコストが2億5000万─3億5000万ドル押し上げられると予想した。
・ディア<DE.N>
今年2月、中国からの輸入品への関税引き上げによる今年のコストを1億ドルと予想した。
<農業>
・アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)<ADM.N>
第4・四半期の調整後営業利益が1億8300万ドルと前年比30%落ち込んだ。対中貿易戦争でソルガムと大豆のオリジネーション(集荷・輸出)事業が打撃を受けたため。
・ブンゲ<BG.N>
米中貿易戦争が回避されるとの見通しに基づいた大豆取引で昨年8月、時価評価で1億2500万ドルの損失を発表した。
・カーギル[CARG.UL]
3月に米中通商紛争の激化や他のサプライチェーンの混乱がオリジネーションや加工などの部門の収益を引き続き押し下げたと発表した。
◎勝ち組
<鉄鋼>
・ニューコア<NUE.N>
関税引き上げが追い風となり、18年の利益と出荷量が過去最高を更新した。ただ、先月には鋼板の平均販売価格の下落や建設セクター顧客への出荷の遅れを理由に、第1・四半期利益が市場予想を下回るとの見通しを示した。鉄鋼は輸入関税引き上げで国内の生産が増加し、価格が下落している。
<農業>
・JBS<JBSS3.SA>
ブラジルのJBSは、米中通商紛争の激化を背景に中国向けの食肉輸出を増やすことができた。中国向け輸出におけるシェアは16年と17年は21%だったが、18年は24%余りに上昇した。
・ルイ・ドレフュス<AKIRAU.UL>
米中通商紛争で昨年は大豆関連事業が拡大し、取引のチャンスが生まれたと発表した。ブラジルからの大豆輸出量は過去最高を記録し、利益は前年比で12%増えた。
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